2012年12月14日金曜日

2012年12月14日

光学など担当の岩室です。

最近は、鏡と鏡が光の波長レベルできちんと位置が揃っているかを調べる「位相カメラ」というものの試験をしています。これは、分割鏡方式でつくる望遠鏡には必ず必要なもので、通常は星の光を用いて鏡の位置関係をチェックするのですが、レーザー光源を用いて行おうというものです。

これには3種類のレーザーが必要で、一列に近接して並べられた3種類の光ファイバー(それぞれのレーザー波長に適合した光ファイバーを用います)からこれらの光を照射する必要があるのですが、通常市販されている光ファイバーケーブルは端にコネクタが付いているので近接して並べることができません。もったいない気もするのですが、片方のコネクタの付け根でファイバーを切断して皮膜を剥ぎ取り、内部の素線を直接研磨して断面を綺麗にする必要があります。こういう作業を外注すると、研磨するために一旦樹脂で先端を固めてから研磨し再度樹脂を外すといった手の込んだ作業となって結構費用がかかるので、自前でやってみることにしました。

端面の研磨は、専用の研磨シート(非常に目の細かい紙ヤスリ)を回転台の上に貼り付けて、回転させながらファイバーの先端が暴れないようにアルミテープで挟むなどして軽く触れる程度に当てればいいのですが、回転台として古いパソコンに入っているハードディスクが使えるかと思い、分解してみました。ハードディスクは非常に安定した軸で高速回転できるように設計されているので、回転ステージとしては最上級の精度を持っています。分解してネットで調べるなどしてわかったのは、モーターは3相のブラシレスで結構回すのが大変ということでした。多分、1相だけに交流をかけて手で勢いをつけてやれば回るのでそれでもいいのですが、回転速度の調整もできるようにちゃんとした3相ブラシレスモーターの汎用ドライバ(モーターの駆動回路)を手配中です。昔のモーターは、整流子というもので電流を切り替えていたのですが、最近のモーターは回路で整流子に相当する作業をやってしまうので、こういう所にも時代の流れを感じますね。

本題のファイバー端面の研磨は、結局手でできちゃいましたので、何のための研磨台か良く分からない状況になりつつありますが、コンピュータは格安にも関わらず、精密機械の集合体なんだなということを実感した日でした。こんな感じで、色々脱線しながら開発を進めています。

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