2014年8月29日金曜日

つれづれなるままに

  プロの天文学者は、晴れていれば夜な夜な観測していると思われているらしい。だが、一般にはそうではない。シリーズ第3弾、、、と思ったら、知らない間に長田さんが第3弾を出していたので、第4弾になる、のかな・・・?

 5月のブログで「次は8月のワークショップ!」と、書きましたが、8月11-12日に国立天文台にて「岡山ユーザーズミーティング」が開催され、その中で、3.8mのセッションを持ちました。しかし、うっかり写真を撮るのを忘れたため、今回は書きません。下の写真参照でご容赦ください。

 またぞろ締切が来たので困っているのですが、、、うーん、旧聞になりますけど祇園祭の話にしますか。今年、先祭と後祭に分かれて以前の形態に戻った(とはいえ、後祭の巡行ルートは違うような気がする)のと、大船鉾の150年ぶりの復活とかで、何かと話題となりました。私は、後祭の宵山には露店を出さないというところが気に入ったので、後祭の宵山に1時間程の測光じゃなくて速攻見物に行ってきました。大船鉾は大人気で押すな押すなの行列でしたが、そこ以外は、わりとゆったり歩けて予想通り。露店がないと、屏風を出す家が多くなるのではないかと期待して行ったのですが、例年より多く屏風などを見せている家がありました。なかには円山応挙が模写したという屏風があったりして感心しました(応挙を模写した訳ではない)。また、「・・・のお守りは、これより出ます。常は出ません今晩限り。信心の御方様は、受けてお帰りなされましょう」という小学生の歌声を久々に聞いたように思います。結構あちこちの山でこの「営業」していたのですが、これも露店がないおかげなのかどうか? 北観音山では松の木にいつも通り「ハト」がとまっていることを確認して、南観音山の松の木の鳥を確認しようとしたけどよく見えず、と思っていたのですが、ナント今年は、南北で鳥を入れ替えていたことを翌日(?)の新聞で知ってびっくり仰天。そうかあ、ハトと思ったのは、実は今年から「オナガドリ」だったのか・・・これも検証の末、元の正しい配置になったんだそうです。何かと元に戻る今日この頃。五山の送り火の点火時間も今年51年ぶりに変更になったそうですが、これは元に戻ったわけではないようです。お盆の期間なのでおしょらいさんも戻ってきている。そういえば今日は8月15日か。合掌。


太田@第4弾と言えるのかどうか・・・

太田耕司



5月の研究会の様子。8月もこんな感じでした。(てっ、手抜・・・)

2014年8月19日火曜日

宇宙と生命の起源

 今年(2014年)6月に、岩波ジュニア新書777『宇宙と生命の起源2-素粒子から細胞へ』を刊行しました。これは、国立天文台の小久保さんと私の共編著の本です。われわれも含めた総勢12名の一線の研究者が、宇宙、地球、生命の歴史について、わかりやすく解き明かしていきます(ことを目指した本です)。「ジュニア新書」の一冊ではありますが、中身は相当しっかりしています。決してこども向けにレベルを落とした本ではありません。専門用語を不用意に使わない、論理の流れはシンプルに、をモットーに、一般の方も楽しめることを心がけて本づくりをしました。

じつはこの本は、10年前に出した岩波ジュニア新書477『宇宙と生命の起源ービッグバンから人類誕生まで』の続編にあたります。今回は、生命、特に細胞やDNAの記述に重点をおきました。また、素粒子や太陽といった話題にも触れました。思えば、この10年間で、科学は多方面で大きな進展を見せました。たとえば2012年には「質量の起源」であるヒッグス粒子が発見されました。山中伸弥氏がiPS細胞の作製でノーベル賞を受賞したことも記憶に新しいできことです。ほかにも,宇宙最初の星、地球の歴史、DNAでみた生命の進化、人類の起源などについて,新しい研究手法が開発されて研究どんどん進んでいます。私たちはいい時代に生きていることを実感します。同時に、科学と社会の関わりがますます大事になってきた時代とも感じます。

10年後、3.8m望遠鏡が活躍して成果をあげているはずです。その成果をいかに社会の中で位置づけるか、これもわれわれの課題です。

嶺重 慎




岩波ジュニア『宇宙と生命の起源2ー素粒子から細胞へ』



2014年8月7日木曜日

ボース・アインシュタイン凝縮?

リーダの長田です。プロの天文学者は、晴れていれば夜な夜な望遠鏡をのぞいて観測していると思われているらしい。だが、これは全くそうではない(この前の前のブログのとおりです)。・・・と書き始めればなんとか書けるかなあと思ったのですが、それというのも、締切の文章が3つもあり、コピペであろうと何であろうと空白を埋めることができれば、との魂胆でした。

その締切の文章の一つは、大阪市立科学館友の会が出してられる「うちゅう」という誌に載せてもらうもので、この3.8m望遠鏡に関する解説記事です。せっかくだから岡山のことから書き始めようと思ったのが運の尽き、私は歴史大好き人間なのでついつい岡山天体物理観測所の50周年記念誌や40周年記念誌を読みふけってしまい、肝心の自分の文章が書けていません。そして、そこに載っている当時の国立天文台長の海部さんの巻頭言には感心しました:「私が『天文月報』を読みはじめた高校時代、その表紙やグラビヤを毎号のように飾っていたのは、岡山の74インチ望遠鏡建設の進捗レポートだった。当時の「岡山」への期待の大きさが、よくわかる。ある意味では、今日のすばる望遠鏡に対する以上の大きな期待が寄せられていたと言ってよいだろう」。

それにしても、このブログも含めてたくさんの文章の締切が重なり、さらに他のいくつかの仕事も7月末から8月初めに集中しています。自分のスケジュールを見て私は「ボース・アインシュタイン凝縮だ!」と口走ったのですが、文系の人にとってはユングのシンクロニシティなのかも知れません。私たちが宇宙の観測をする光というのはまさにこのボース・アインシュタイン凝縮を起こすモノです。電子のように同じ場所・同じ速度・同じ性質で重なると言うことがないモノとは正反対で、どんどんどんどん重なってしまうのです。忙しい人にこそ仕事をお願いしよう、というようなもんです(うーん、こんなことまで書くと「ナポレオン対チャイコフスキー世紀の決戦」っぽくなって来ましたねえ、筒井康隆のような文才はないけど)。

で、最後もコピペで飾ると、1953年に萩原雄祐東京大学東京天文台長がNHKラジオ「やさしい科学」に書かれたという文章が先述の40周年記念誌に載っています:「ヨーロッパとアメリカと日本とは経度で120°ずつへだたっている。ちょうど茶の湯で使う鼎(かなえ)の三脚をなしている。しかも地球は自転しているから、欧米の昼の時に起った天界の現象は、その時夜である日本でないと観測できない。」まさに3.8m望遠鏡の課題の一つですね。





   

写真:727日には、こんな顔をして小学生に望遠鏡の作り方を教えて、工作をしました。一応解説はしたのですけど、翌日にかかって来た電話が、「言われたとおり、月を見る前に、遠くの山を見て練習しているのですが、逆さまに見えてしまいます。何がおかしいのでしょうか。」・・・いや、それで良いのです。私たちの3.8m望遠鏡は第3鏡があるので少し複雑ですが、覗いたら、やっぱり似たようなことになるのですよね。(そして、729日にはまたまた小学生相手に京大の屋上で望遠鏡の解説をしていました。さらに、近々、大学事務職業体験受入とやらで京大の屋上の望遠鏡の見学につき合うことになりそうです。やっぱりボース・アインシュタイン凝縮してます。)