2016年9月23日金曜日

出前授業

プロマネの栗田です。

日本海の岬をめぐるバスに揺られて京丹後の間人小学校に出前授業に行ってきました。間人は「たいざ」と読み、難読文字で有名なようです。聖徳太子の母君の間人(はしうど)皇后が訪れ、この地を去った(退座)ときに由来するとか。バス停まで迎えに来てくださった職員の方も岬の上のほうを指さして、ここには母君のお墓もあると説明してくれました。校舎も周囲の家々も日本海にせり出した岬の傾斜部に張り付くように建っています。近々となりの小学校と統合するとのことで、校舎は新しくとても立派でした。校舎の2階の廊下は窓が広く、日本海をどの教室からも眺めることができるようになっています。生徒に「雪は降りますか」と訊くと「たくさん降りますが、あまり積もりません。すぐ風と潮で流されます。」と眼下の磯と道を見ながら教えてくれました。夏の風景からは想像できない厳しい冬があるのだなあと思いました。

授業は3年生20名と4年生8名にむけて星やブラックホールの話をしました。最近はyoutubeに素晴らしいコンテンツがたくさんあり、それらを見せると驚きやため息、歓声で大騒ぎです(やはり、映像には適いませんね)。1時間15分と小学生にしては長め授業でしたが、たくさん質問も出て生徒も先生も楽しんでくれたのではないかと思います(大学生に講義するより、やりがいがありますね)。
授業を終えて、職員室に(数少ない)バスの時間を確認するとあと数分だったので、ほとんど挨拶もせずに猛烈ダッシュでバス停に向かいましたが、見事に乗り遅れました。



校長室の横にあった生徒と先生らによる人文字の写真




2016年9月9日金曜日

工事中

  惑星観測装置担当の山本です。

 先日、近江神宮に参拝したところ、桜門が補修中と言うことで、工事用のベールに包まれておりました。本年平成286月から9月中旬まで、と言う事で、滅多に見られないものを見られた、と考えることにします……
 
 
近江神宮の桜門(工事中)

 とはいえど、昨年も、黒壁で有名な滋賀県の長浜城に行ったところ、こちらも改修工事中でした。ちゃんと下調べをしておけ、と言う話ではありますが、京都においても、東本願寺の大補修をはじめとした京都に散らばる各名所、いつもどこかで補修を行っています。これも京都・滋賀だけの話ではないですね。桜門の補修も珍しい光景ではなく、いつもどこかでなにかを直しているのが日本という国です。
 日本の四季が豊かと言うことは、一年を通して大きな寒暖の差があり、また毎年台風がやってきますし、数十年、数百年で大きな地震に見舞われます。つまり日本という国は、直しても直してもあとからあとから破損の原因がやってくる、と言う環境であると言えます。こうした環境的・物理的な要因によって各地の補修工事が行われている面があります。
 こうした環境であるからか、「満つれば欠くる世の習い」という言葉が生まれました。完成してしまえば後は壊れるだけ、"だから未完成のままにしておく"というのが日本の文化でもあります。現在上映中の怪獣災害映画にも「スクラップアンドビルドでこの国(日本)はのし上がってきた、だから今度も立ち直れる」というセリフが出てきます。モノを作っても壊れてしまう。しかしながら、今は未完成でも常に補修、改修、改善をしていくことで完成へ近づけていく、そうした意思こそが、日本人の本質なのかも知れません。
 
 とはいうものの
 
 現在我々が開発している、太陽系外惑星撮像装置SEICAが未完成で良い、とする人は一人もいないでしょう。もちろん機能アップの余地や、保守管理のしやすさなどは考慮しておくべきですが、科学装置に関しては毎回同じ性能が出るように「完成」させておかなければなりません。
 前回4月に予告したように、現在は補償光学装置の性能評価が行えるようになり、どうした改善が必要かを検討しています。また実際に望遠鏡に搭載する装置の設計・製作・組み立ても始まっています。
 
 完成はまだ遠い光景ですが、これからも開発を行っていきます。
  

それでは!