2014年12月12日金曜日

知のバリアフリー

 今年(2014年)11月に京都大学学術出版会から『知のバリアフリー~障害で学びを拓く』を刊行し、1210日に京都大学において山極京大総長、杉万京大理事も列席のもと記者発表を行いました。国立民族学博物館の広瀬浩二郎と私とが編者となり、京都大学の学生総合支援センター障害学生支援ルームに協力していただいてできあがった書物です。
 以下、私が中に書いたものの一部を引用します。

 私はふだん、ブラックホールに関する研究と、天文学に関する教育をしています。そういう事情なので、よく「なぜ、バリアフリーの学習教材をつくっているのですか」と聞かれます。恐らく、障害者教育は特殊な分野であり、教材づくりも、その専門家に任せておけばよいという考えが背後にあるのでしょう。
 でもそれは違う、と私は思っています。障害者が、さまざまなことに興味・関心をいだくのは当然のことです。私たちは、障害者教育や福祉のプロではありませんが、各の専門分野に関して、それなりの知識や経験があります。だから、人の興味・関心にできる限り応えるべく、障害当事者や障害者教育のプロと組んで教材づくりをしようというのが、私の活動の原点です。実際、できた教材を使っていろいろな人と会話ができるのは楽しいことです。分野を超えた専門家同士の連携は新たな意欲と発想を生み出し、さらに深い学びへと道を拓きます。

 本書は、昨年6月に開かれた京都大学バリアフリーシンポジウムにおける講演がベースになっていますが、講演者にあらためて原稿を書いていただき、また出席者数人にコラムとして寄稿していただきました。大学における障害学生支援(第1部)と「障害」で学びを拡げる実践(第2部)から構成される、類書のない、じつにユニークな本です。カバーには盛り上がり印刷を施し、手触りも楽しめるように工夫しました。ぜひ手にとってみてください。
(嶺重 慎)







2014年11月26日水曜日

物理と化学

制御担当の木野です。

 ちょっと前の話題ですが、今年のノーベル物理学賞に実用的な青色LEDの発明で赤崎氏、天野氏、中村氏の3名が選ばれました。
青色LEDやこれを応用した白色LEDは今この文章を書いているパソコン画面のバックライトをはじめ、部屋の照明や信号機など広く生活の中で使われています。

この青色LEDの開発競争は半導体材料に何を使うかが鍵で、セレン化亜鉛や炭化珪素を使った青色LED(輝度が低いため普及しませんでしたが)上記3氏の発明以前から研究されていたそうです。
材料となる物質の性質を解き明かしていくのは物性物理学の分野なのですが、同じことを実験を通して現象論的にアプローチしていけば化学の分野でもあります。
なので今回の青色LEDの発明は、解釈の仕方によってはノーベル化学賞の可能性もあったのではないか思います。

一方、日本人受賞者がいなかったため話題とならなかった今年のノーベル化学賞。選ばれたのは超高解像度な顕微鏡の開発です。
彼らが作ったのは蛍光顕微鏡と呼ばれる方式で、観察したい試料に紫外線を当てることで試料が出す蛍光を観察します。
紫外線をあてるスポットサイズを小さくするほど解像度が上がりますが、その紫外線の波長程度より小さくすることはできません(回折限界と言います)
そこで彼らはスポットの周囲に蛍光を出させなくする(専門的な言葉で誘導放射を起こさせる)別の光をドーナッツ状に照射して「穴」の部分だけ蛍光を出せるようにすることで、より高い解像度を実現しました。
非常に乱暴に要約すると「像がボケるなら、ボケた部分の余分な光を消してしまえば良い」という逆転の発想です。
この顕微鏡、化学の分野で大きな貢献があったことは確かですが、原子が光を出す仕組みを上手く応用して高解像度を実現する仕組みは物理そのものです。
青色LEDとは逆に、こちらがノーベル物理学賞に選ばれたとしても全く違和感はありません。

最近は天文業界でもAstrochemistry(宇宙化学)Astrobiology(宇宙生物学)といった分野が注目を集めています。
もしかしたら将来、地球外生命を発見してノーベル医学生理学賞なんてこともあり得るのかもしれません。






【画像】
最近購入した白色LEDの自転車用ライト、とても明るいです。
電球の柔らかい光も気に入っていたのですが、省電力で長寿命という新技術の魅力に負けました。




2014年11月18日火曜日

2014.11.18

こんにちは。野上です。
京都大学理学研究科附属天文台では、様々な広報普及活動を行っています。附属天文台には京都にある花山天文台、岐阜県高山市にある飛騨天文台の2つがあります。このうち花山天文台は9月から11月前半にかけて、様々なイベントがありました。
 9月3日から10月19日にかけて、京都大学総合博物館や宇宙物理学教室、地球物理学教室などと共同で行われた博物館特別展「明月記と最新宇宙像 -千年を超えて羽ばたく 京の宇宙地球科学科学者たち-」(藤原定家の明月記(国宝)も展示されました!)、10月4日の花山天文台で行われた天文台基金野外コンサート(シンセサイザー奏者の喜多郎さんやホーメイ歌手・全身音楽家の山川冬樹さんほかが演奏されました!)、10月8日の天文台基金月食観望会、10月24日から11月9日の花山天文台Galleryweek2014、11月1日の花山天文台一般公開、11月7日から9日の京都市小学校見学会(これはこの後も続きます)、その間にも別の花山天文台見学が何件かあって、、、という怒涛のスケジュールでした。へー、そんなのやってるんだ、と思われた方は、博物館特別展以外は多分来年も行われますので、どうぞ花山天文台のホームページをチェックしていてください。
これらのイベントは、大学院生もたくさん手伝ってくれて、また小学校見学会では堀川高校の生徒さんも大活躍してくれて、なんとか乗り切れたというところです。それでもなかなか人手が足りないところもあり、財源的にも厳しいので、天文台基金を通して、活動を支援して頂けると大変ありがたいです。ブログの私の前回の記事で書きましたように、今年6月まで私は花山天文台の所属だったので、これらの活動には私もずっと関わっています。
写真は京都市小学校見学会の時のもので、私が花山天文台にある45cm屈折望遠鏡の解説をしているところです。85年前の花山天文台設立時そのままの建物、屈折望遠鏡としては日本で3番目に大きな望遠鏡、望遠鏡は基本的に全て手動、現在稼動している望遠鏡としては多分日本でここだけの重力時計などなど、説明することは盛り沢山です。火星の研究で惑星気象学という分野を切り開いた望遠鏡でもあります。

こういう広報普及活動は、やっていて色々と勉強になりますし、とても楽しいものです。3.8m望遠鏡でも色々と行っていきたいと思っていますので、乞うご期待!




2014年11月7日金曜日

ハンマークラヴィーア

リーダの長田です。
プロの天文学者らしからぬ長田は、夜な夜な観測しているわけでもなく、ブログと言うと音楽のことばかり書いているらしい。いや一般にはそうではない・・・わけでもなく、むしろ全くそのとおりで、バイオリンのメニューインの話、サンサーンスの天才の話、バイオリンの弓の上下の話、チャイコフスキーの1812年序曲の話などばっかりではあるのですが、その第5弾か何かです。ここのところ、訳あって、ベートーヴェンの後期のピアノソナタをしょっちゅう聞いています(そのワケというのはNHKの火曜夜10時に放送されていたドラマなのですが、それは長くなるのでまた別の機会に)。
そして、エミール・ギレリスというすばらしいピアニスト(鋼鉄のタッチとも言われた)のCDがなぜか図書館で目に留まり、ベートーヴェンのピアノソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」を借りてきました。するとまさにその夜に、NHK-FMの「クラシックの迷宮」という知る人ぞ知る抱腹絶倒の番組で「ロプコヴィッツ邸のベートーベン」という放送をやっていました。その番組では、最初にギレリスにも比肩できるルドルフ・ゼルキンの鋼のようなピアノ演奏がバイエルン放送交響楽団と堂々とわたりあうベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」が流れ、「しかし、こんな演奏をベートーヴェンは聴くことができたわけではない」と続いたのです。
強く張られた鋼鉄の弦をハンマーでぶったたく現代のグランドピアノは、鉄鋼業が進歩した19世紀後期の産物であり、ベートーヴェンが生きた時代には、チェンバロとは違って弱い音も(ある程度)強い音も出せますよといったフォルテピアノがやっとできて来ていたにすぎません。ピアノ曲というのはチェンバロ類似の楽器でなら何ででも演奏されうるような「鍵盤楽器の曲」だったわけです。そんな頃に、100人のオーケストラを相手にすることもできるようなピアノ協奏曲を書いたり、「ハンマークラヴィーアのために」とわざわざ注記したピアノソナタを書いたりした、それがベートーヴェンの先見の明だったのだと言えば確かにそうなのかも知れません。実際、第29番のピアノソナタは当時のピアノ及びピアニストには演奏不可能だった、そして、ベートーヴェン自身は「50年経てば弾けるようになる」と語ったそうです。
モーツァルトとベートーヴェンを比べてどちらが優れているかなんてことはわかりませんが、少なくとも、その後の大音量のグランドピアノで弾かなければ真価が発揮できないような曲を書いたという意味では、明らかにベートーヴェンは次の世代を切り拓いた作曲家であったと思います。

いったん作って出版してしまえばそれで作者の手を離れるものとは違い、望遠鏡というのはどんどん改良されていくものではあるので、一緒くたにはできませんが、3.8m望遠鏡、今の技術に合わせて作るというだけではなく、何年も先に真価を発揮するような「ぶっ飛んだ」ものにもしたいものだなあ、とも思うのです。

今流行の天文学の観測に間に合わせようなどという姑息なことはあまり考えず、将来を見通して最善の望遠鏡を作っていきたいと考えています。



写真:
ホントに「間に合わせ」の感のある箱の絵が悲しい(でも、安かったので、英語の解説がないことも含め、しかたない・・・とあきらめています、中身で勝負!)けど、ウチにあるピアノソナタの全集の中では一番気に入っています、フリードリッヒ・グルダの見事なパフォーマンスのCD


2014年10月21日火曜日

天文台長の柴田です。

今日(1018日)は、みなさまに嬉しいご報告です。
京大天文台の予算ピンチを解決するための募金活動の一環として、8月22日から1020日までの60日間限定で、「太陽フレアの解明と宇宙天気予報の研究」というタイトルでクラウドファンディングhttps://academist-cf.com/projects/4/shibata なるものを始めていましたが、それが今日、ついに目標額の350万円を達成できたのです! 
と言っても、ピンと来ない人もおられると思いますので、ちょっと説明しましょう。
「クラウドファンディング(crowd funding)とは、不特定多数の人がインターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語」wiki )というものです。「多くの人々から少額の寄付を通して出資を集める」wiki)のが特色です。英語では crowd なんですね。先日、外国の友人に cloud funding とメールして間違いを指摘されました。Cloud computing cloud と同じだとばかり思っていたのです。Wiki をちゃんと読んでおくべきでした。
今回は1020日までに目標額の350万円を集めることが出来た場合にのみ、決済が確定する、というルールでした。ところが、開始後一ヶ月の9月下旬になっても目標額の4分の1程度しか集まらず、達成が危ぶまれていたのです。
それで twitter  https://twitter.com/cosmic_jet で、できるだけつぶやくようにしたり、多くの人々にメールを送って、みなさんの知人に宣伝してくださいとお願いしたりしていました。しかし、10月に入るまでは、なかなか寄付が増えず、なかばあきらめの境地だったのですが、多くのみなさん(特にフォロワーの多いみなさん)の発信や新聞報道(読売新聞10月6日中部地区)、さらにはインターネット報道(ハフィントン・ポスト 10月9日)などのおかげもあって、最後の10日間で100人以上の方が寄付してくださり、ついに達成できたのです。とりわけ最終日(1020日)直前のこの数日で50人以上の方が寄付してくださったのは驚きでした。もう少しで達成、という状況が、支援しようというモチベーションを高めるのですね。
さて、今回、クラウドファンディングを始めたきっかけは、宇宙物理学教室に4月に着任したばかりの新任助教の佐々木貴教さんからのメールでした。佐々木さんの元教え子(東工大大学院生)の知人に、クラウドファンディングのベンチャー企業を立ち上げた若い社長さんがいるので、ぜひ会うと良い、附属天文台の予算ピンチの解決のために少し役立つかもしれません、とのことでした。それでお会いしたのが、このクラウドファンディングのサイト「アカデミスト」を運営している会社の代表取締役の柴藤亮介さんでした。柴藤さんご自身も最近まで首都大学東京で原子核理論の研究をしていた元大学院生で、博士論文になる予定の論文は投稿中だそうです。周りの大学院生や研究者を支援する仕事をしたい、ということで今年2014年4月に「アカデミスト」を立ち上げとのこと。研究者支援のクラウド・ファンディングとしては日本で初めてだそうです。それは素晴らしい、京大天文台の寄付集めが、同時に柴藤さんの日本初の研究者支援事業の応援にもなるので、一緒に頑張りましょう、ということで始めました。
柴藤さんとは佐々木さんも含めて、何をテーマに寄付集めをするのが良いか、色々相談しましたが、まずは、最近予算が打ち切られた飛騨天文台のSMART望遠鏡の維持費(年間1000万円程度)を獲得して太陽フレアの解明と宇宙天気予報につながる研究で成果を上げることを目標としました。私が推進している様々な研究を柴藤さんに紹介したところ、太陽フレアの動画がおもしろい、それをリターンにしましょう、ということになったものです。さらにフレアTシャツ(以下の写真参照)やフレア・エコバッグもリターンに追加しました。(後者は嶺重教授の提案です)
今後は、岡山3.8m望遠鏡の運用経費獲得のクラウド・ファンディングも始めたいと思っています。みなさまのご支援やご協力をいただけましたら、大変幸いです。

(2014年10月19日)

以下の写真は、フレアTシャツを来て、(左)喜多郎さんと(花山天文台野外コンサートの直前)、(右)篠原ともえさんと(嵐山宙フェスの際)。いずれも201410月4日。
篠原さんの勧めで、フレアTシャツを着込みました。そのため、その日は夕方の花山天文台野外コンサートのときも、ずっとフレアTシャツで過ごしたのでした。








2014年10月3日金曜日

2014.10.3

   鏡製作担当の所です。

日本・アメリカ・カナダが中心となり計画を進めてきた、超大型望遠鏡TMT (Thirty Meter Telescope)の建設が本格的にスタートしました。
この望遠鏡は対角1.44mの六角形の分割鏡を492枚組合わせて口径30mの主鏡を構成します。日本は望遠鏡本体構造や分割鏡の製作などを担当することになっています。
分割鏡の製作は国立天文台とキヤノン()が共同で進めるようですが、今年6月にカナ ダで開催された学会の集録をみると、日本独自の技術ではなく、Keck望遠鏡の分割鏡で実績があるstressed mirror polishingというアメリカが開発した技術を用いて分割 鏡を製作する方針になったようです。
ものづくりに携わる者として、日本の技術が採用されなかったことが残念でなりません。TMTの次の計画(20402050年に口径100m?)では鏡の製作に日本の技術が採用される よう、地道に技術開発を進めていかなくてはいけません。

さて、京都大学3.8m望遠鏡の建設予算がつき、先月から分割鏡の量産を開始しました が、これと並行して新しい鏡面加工技術の開発を大阪電気通信大学と共同で進めています。
秘密保持契約の関係で詳しい説明はできませんが、この新しい加工技術は研削と研磨 の良いところをとったもので、研磨より格段に加工能率が高く、研磨では避けることができなかった縁だれを生じない画期的な鏡面加工方法です。
写真は加工実験の準備風景で、大阪電気通信大学が所有するNCフライス盤に専用の工 具回転軸を取り付けたところです。

ちなみにこのNCフライス盤は、NC部は30年前、フライス盤本体は40年以上前のものです。きちんと作られた機械は、適切なメンテナンスを行えば何十年もの間、現役で稼動さ せることができます。
京都大学3.8m望遠鏡も数十年にわたって活躍し、数多くの新しい天文学的知見をもたらしてくれると期待しています。








2014年9月19日金曜日

量産開始?

  こんにちは。鏡製作担当の高橋です。

  去年の今頃、「槍ヶ岳に登ってきました」というブログを書きましたが、今年は奥穂高岳に登って参りました。本当は、「富士山に登ってきました!」と書き出したかったのですが、天候とお休みの兼ね合いで叶わなかったので、来年以降に持ち越し、富士山に見劣りしない山に出かけたのでした。

  閑話、、

  あ、前回のブログで書いたワールドカップ優勝予想、当たりました!
えっへん。とはいえ、ほぼ初めて購入したtotoはあえなく全滅でした。やはり、難しいものですね。

  閑話休題。

  京大岡山3.8m望遠鏡製作ですが、量産体制に入ろうとしています。先日、京大の木野さんにCGH干渉計の調整と、より使い易いように、との改良をして頂きました。これで、あとはじゃんじゃん加工をしていくだけ!(少し願望込みですが)ということになりました。
  写真は、加工準備中の一コマで、「やとい」と呼ばれる硝材を設置しているところです。この「やとい」、研磨の際に鏡の縁の形状が「ダレる」のを防ぐ効果があります。
  3.8m望遠鏡は、18枚の鏡をきっちり並べて1枚の鏡として使用するため、鏡の端の形状が悪いと、全体として1枚の鏡の中に鏡として使用できない領域が増えてしまうことになります。せっかく大きな鏡を作ろうとしているのに、これではまずい!ということで、この「やとい」の出番となります。写真では扇の「かなめ」側に一つあるだけですが、最終的には扇の周囲全てに設置して、研磨開始となります。

  さあ、早く残りをやっつけないと。。

  次回には完成した鏡の写真をお見せできますように。


  では。






2014年9月12日金曜日

2020年代の光赤外計画書

こんにちは。観測装置担当の松尾です。
半年ぶりのブログになります。

今日は、私が最近携わっている「2020年代の光赤外計画書」についてご紹介します。そもそも、光赤外計画書とは何でしょうか?
京大3.8m望遠鏡やすばる望遠鏡は、可視光から赤外線の光を観測しています。また、宇宙に目を向けると、JAXAの赤外線望遠鏡「あかり」も同様に、赤外線からより波長の長い遠赤外線を観測しました。このような望遠鏡の開発や運用によって、科学的成果を挙げるコミュニティが自主的に形成されています。そのようなコミュニティの下で、およそ10年前の2005年に「2010年代に光赤外コミュニティとして、どのような科学的研究を推進するのか?」また「その科学的研究のために必要な望遠鏡や特色のある装置は何か?」ということが真剣に議論され、それを2010年代の光赤外計画書として2冊の本にまとめました。要は、そのコミュニティにおける指針となっています。現在でも、大変重宝されています。

このような検討は日本に限ったことではなく、アメリカも同様のことを行なっています。ディケイダル(10年間の)・サーベイ(洗い出し)と呼ばれており、波長を超えた枠組みでアメリカの進めるべき科学的課題を洗い出し、その順位付けまで行なっています。私は、2010年頃までアメリカに居たのですが、ちょうどディケイダル・サーベイのまっただ中におり、NASAJPL研究所で携わった計画がその主要な課題に挙げられず、チームが解散する事態を目の当たりにしました。アメリカにおける検討は、日本よりも強い影響力を持ちます。

話を戻しますが、2020年代の計画書は、これから5年・10年先を見据えて、2020年代に光赤外コミュニティとして何を推進すべきかを現在議論されています。私は、この計画書において、太陽系外惑星科学(太陽系の外に発見されている惑星を対象にした科学)として光赤外望遠鏡を使って2020年代に何を進めるかというサイエンスの立場から参加しています。将来の夢を膨らませてのある話も出来る一方で、研究者として責任のある立場で最重要の科学テーマを洗い出さなければいけません。また同時に、系外惑星科学の推進に必要な望遠鏡を考えていくことになります。


来年の夏に完成予定です。完成すれば、光赤外コミュニティから他の波長(高エネルギーや電波)のコミュニティへ発信し、また海外にも要約が発信されます。我々の渾身の一冊を是非ご覧ください。大事なことを書き忘れましたが、京大望遠鏡は地上望遠鏡計画の重要な位置づけになっています。



2014年9月5日金曜日

雨雪ソフト

光学など担当の岩室です。

 娘が高校の文化祭で今流行りの「アナ雪」の演劇をするらしいのですが、背景を雪や吹雪にするシーンがあってどうしたらいいか先日相談されました。紙吹雪は掃除が大変なので、ミラーボールか液晶プロジェクタかな、ということでとりあえずは経費のかからない液晶プロジェクタで吹雪の背景を作ることにしました。
 写真に雪を降らせるなどの動画加工は可能なはずなので、どこかにあると思って探した所、いいものがありました。
Sqirlz Water Reflectionsというフリーソフトで、画像に雨や雪を降らせたり水面を加えて波や波紋を加えることのできるものです。これを使うと本来嫌がって水には入りそうもない我が家のドラちゃんを、雪の降る温泉に入れる事もできます(湯気の効果はありませんが...)。他にも、これで天体画像を加工したりすると、通常ではあり得ない違和感があって色々遊べます。何かのプレゼンでも使えそうですね。








 演劇の背景はこれを使って白~青のグラデーションでのベタ背景に横殴りの吹雪やちらほら降る雪のアニメーション加工をし、無事に使えているようです。


 最近は、プロジェクションマッピングなどでも良く利用されているプロジェクタですが、演劇などの光を使う舞台上では光量が不足して見づらかったり、影ができる場合があったりして、簡単な背景以外では使いづらいですよね。有機ELの巨大シートが量産されるようになれば、舞台背景にはこれが常設されて好きなシーンを簡単に映して演劇が楽しめるかと思います。その頃には、各家庭のテレビもポスターやカレンダーの感覚で壁に貼って見るようになっているのでしょうね。




2014年8月29日金曜日

つれづれなるままに

  プロの天文学者は、晴れていれば夜な夜な観測していると思われているらしい。だが、一般にはそうではない。シリーズ第3弾、、、と思ったら、知らない間に長田さんが第3弾を出していたので、第4弾になる、のかな・・・?

 5月のブログで「次は8月のワークショップ!」と、書きましたが、8月11-12日に国立天文台にて「岡山ユーザーズミーティング」が開催され、その中で、3.8mのセッションを持ちました。しかし、うっかり写真を撮るのを忘れたため、今回は書きません。下の写真参照でご容赦ください。

 またぞろ締切が来たので困っているのですが、、、うーん、旧聞になりますけど祇園祭の話にしますか。今年、先祭と後祭に分かれて以前の形態に戻った(とはいえ、後祭の巡行ルートは違うような気がする)のと、大船鉾の150年ぶりの復活とかで、何かと話題となりました。私は、後祭の宵山には露店を出さないというところが気に入ったので、後祭の宵山に1時間程の測光じゃなくて速攻見物に行ってきました。大船鉾は大人気で押すな押すなの行列でしたが、そこ以外は、わりとゆったり歩けて予想通り。露店がないと、屏風を出す家が多くなるのではないかと期待して行ったのですが、例年より多く屏風などを見せている家がありました。なかには円山応挙が模写したという屏風があったりして感心しました(応挙を模写した訳ではない)。また、「・・・のお守りは、これより出ます。常は出ません今晩限り。信心の御方様は、受けてお帰りなされましょう」という小学生の歌声を久々に聞いたように思います。結構あちこちの山でこの「営業」していたのですが、これも露店がないおかげなのかどうか? 北観音山では松の木にいつも通り「ハト」がとまっていることを確認して、南観音山の松の木の鳥を確認しようとしたけどよく見えず、と思っていたのですが、ナント今年は、南北で鳥を入れ替えていたことを翌日(?)の新聞で知ってびっくり仰天。そうかあ、ハトと思ったのは、実は今年から「オナガドリ」だったのか・・・これも検証の末、元の正しい配置になったんだそうです。何かと元に戻る今日この頃。五山の送り火の点火時間も今年51年ぶりに変更になったそうですが、これは元に戻ったわけではないようです。お盆の期間なのでおしょらいさんも戻ってきている。そういえば今日は8月15日か。合掌。


太田@第4弾と言えるのかどうか・・・

太田耕司



5月の研究会の様子。8月もこんな感じでした。(てっ、手抜・・・)

2014年8月19日火曜日

宇宙と生命の起源

 今年(2014年)6月に、岩波ジュニア新書777『宇宙と生命の起源2-素粒子から細胞へ』を刊行しました。これは、国立天文台の小久保さんと私の共編著の本です。われわれも含めた総勢12名の一線の研究者が、宇宙、地球、生命の歴史について、わかりやすく解き明かしていきます(ことを目指した本です)。「ジュニア新書」の一冊ではありますが、中身は相当しっかりしています。決してこども向けにレベルを落とした本ではありません。専門用語を不用意に使わない、論理の流れはシンプルに、をモットーに、一般の方も楽しめることを心がけて本づくりをしました。

じつはこの本は、10年前に出した岩波ジュニア新書477『宇宙と生命の起源ービッグバンから人類誕生まで』の続編にあたります。今回は、生命、特に細胞やDNAの記述に重点をおきました。また、素粒子や太陽といった話題にも触れました。思えば、この10年間で、科学は多方面で大きな進展を見せました。たとえば2012年には「質量の起源」であるヒッグス粒子が発見されました。山中伸弥氏がiPS細胞の作製でノーベル賞を受賞したことも記憶に新しいできことです。ほかにも,宇宙最初の星、地球の歴史、DNAでみた生命の進化、人類の起源などについて,新しい研究手法が開発されて研究どんどん進んでいます。私たちはいい時代に生きていることを実感します。同時に、科学と社会の関わりがますます大事になってきた時代とも感じます。

10年後、3.8m望遠鏡が活躍して成果をあげているはずです。その成果をいかに社会の中で位置づけるか、これもわれわれの課題です。

嶺重 慎




岩波ジュニア『宇宙と生命の起源2ー素粒子から細胞へ』



2014年8月7日木曜日

ボース・アインシュタイン凝縮?

リーダの長田です。プロの天文学者は、晴れていれば夜な夜な望遠鏡をのぞいて観測していると思われているらしい。だが、これは全くそうではない(この前の前のブログのとおりです)。・・・と書き始めればなんとか書けるかなあと思ったのですが、それというのも、締切の文章が3つもあり、コピペであろうと何であろうと空白を埋めることができれば、との魂胆でした。

その締切の文章の一つは、大阪市立科学館友の会が出してられる「うちゅう」という誌に載せてもらうもので、この3.8m望遠鏡に関する解説記事です。せっかくだから岡山のことから書き始めようと思ったのが運の尽き、私は歴史大好き人間なのでついつい岡山天体物理観測所の50周年記念誌や40周年記念誌を読みふけってしまい、肝心の自分の文章が書けていません。そして、そこに載っている当時の国立天文台長の海部さんの巻頭言には感心しました:「私が『天文月報』を読みはじめた高校時代、その表紙やグラビヤを毎号のように飾っていたのは、岡山の74インチ望遠鏡建設の進捗レポートだった。当時の「岡山」への期待の大きさが、よくわかる。ある意味では、今日のすばる望遠鏡に対する以上の大きな期待が寄せられていたと言ってよいだろう」。

それにしても、このブログも含めてたくさんの文章の締切が重なり、さらに他のいくつかの仕事も7月末から8月初めに集中しています。自分のスケジュールを見て私は「ボース・アインシュタイン凝縮だ!」と口走ったのですが、文系の人にとってはユングのシンクロニシティなのかも知れません。私たちが宇宙の観測をする光というのはまさにこのボース・アインシュタイン凝縮を起こすモノです。電子のように同じ場所・同じ速度・同じ性質で重なると言うことがないモノとは正反対で、どんどんどんどん重なってしまうのです。忙しい人にこそ仕事をお願いしよう、というようなもんです(うーん、こんなことまで書くと「ナポレオン対チャイコフスキー世紀の決戦」っぽくなって来ましたねえ、筒井康隆のような文才はないけど)。

で、最後もコピペで飾ると、1953年に萩原雄祐東京大学東京天文台長がNHKラジオ「やさしい科学」に書かれたという文章が先述の40周年記念誌に載っています:「ヨーロッパとアメリカと日本とは経度で120°ずつへだたっている。ちょうど茶の湯で使う鼎(かなえ)の三脚をなしている。しかも地球は自転しているから、欧米の昼の時に起った天界の現象は、その時夜である日本でないと観測できない。」まさに3.8m望遠鏡の課題の一つですね。





   

写真:727日には、こんな顔をして小学生に望遠鏡の作り方を教えて、工作をしました。一応解説はしたのですけど、翌日にかかって来た電話が、「言われたとおり、月を見る前に、遠くの山を見て練習しているのですが、逆さまに見えてしまいます。何がおかしいのでしょうか。」・・・いや、それで良いのです。私たちの3.8m望遠鏡は第3鏡があるので少し複雑ですが、覗いたら、やっぱり似たようなことになるのですよね。(そして、729日にはまたまた小学生相手に京大の屋上で望遠鏡の解説をしていました。さらに、近々、大学事務職業体験受入とやらで京大の屋上の望遠鏡の見学につき合うことになりそうです。やっぱりボース・アインシュタイン凝縮してます。)



2014年7月31日木曜日

僕のともだち

プロマネの栗田です。

昨晩録画しておいたNHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の真相」を観ました。この件に関して論文不正は事実とされていますが、STAP細胞の有無の結論は出ていません。また様々な有識者から見解が出ているのでおこがましく僕が触れることはしません。ただ、僕自身も発表時はとても心躍って勇気づけられたことを覚えています。その時、生物分野の研究をしている複数の友人にSTAP細胞の解説や今後の展望を訊きました。研究者らの生の反応をお楽しみください。

2014130日の僕の(アホな)質問メールの抜粋
「鳥取大と理研のニュースが立て続けに出て、とんでもない研究成果だなぁとぼんやりと感動していますが、実用化まで行きそうなのでしょうか。また、今回みたいな聞いたこともない切り口のように、多くの研究者が独自の手法でこういった問題に挑んでいるのでしょうか。」

同日A氏からの返信の抜粋
「低pHで未分化な細胞が誘導されたのは、興味深い研究結果だと思います。厳しい審査も通ったので、今報告されている実験結果は事実なのでしょう。原著論文で、「サンショウウオのanimal cap(狭義で何を意味してるかは不明瞭ですが、どこかの器官か組織だと思う)を低pHにさらすと、本来できないはずの神経ができます!(1947)」とあります。ここが彼女達のアイデアの原点だったのかもしれません。 ==== 他のラボでの追試が待たれますね。」

同日B氏からの返信の抜粋
「コレスポ(論文の責任著者)をちゃんとおぼかたさんが取っていることがやはり凄く重要だと思います。また、遺伝子組換えを経ないことは、時代の流れから凄く重要ですね。体細胞が胚細胞に戻るっていうのは生物学ではほんとに驚きの発見です。植物ではトチポテンシーということで、植物ホルモンバランスを換えれば植物体をカルス状態から再生できますが、完全な胚細胞にはできないのでは。ということで、かなりのインパクトですね。最初に投稿してから1年かかっているそうなので、かなりの実験をしてデータは確かでしょう。 ==== 山中先生の流れでいくと、おぼかたさんは最年少ノーベル賞もあるかもしれませんね。アイデアを大切に大きな発見をするとこが凄いっすね。僕だったら、逃げますね。」

同日僕のアホな返信の抜粋
iPSから10年も経っていないわけだから、今回の(方法)が最適かどうかも分からないですね。5年後には何もしなくても初期化するみたいな技術が出てきたりして。。」

同日C氏からの返信の抜粋
「コレスポ(論文の責任著者)ですが、よくこれだけの内容のコレスポになろうとしたことに尊敬。30歳の僕では怖くて無理です。今ならできるかな?これだけの研究者ですから、たとえこれからどんな結論を迎えようとも立ち向かっていけるとは思うのですが、万が一この結果が思い描いていたもの違った時、彼女はどう対処し立ち回るんだろうか?(例えば、リプラミング出来たのではなく、たまたま幼弱細胞集団に多機能性を持つストレスに強い細胞が僅かながらにあったとか、、。だとしても、すごい発見であることには変わりないですが。)」

以上、報道では伝わらない研究者らの臨場感が伝わったのではないかと思います。とくにC氏のコメントは緊張感と予見にあふれています(「僅かながらあった」のがES細胞でなければいいのですが。。)。番組を見逃した方はNHKオンデマンドでも視聴できるようです。では!




2014年7月22日火曜日

観望会

制御担当の木野です。

この3.8m望遠鏡プロジェクトでは3ヶ月に一度ほど、計画に関わるメンバが顔を合わせての会合行っています。先週末の19日にも第33回の会合がありました。
望遠鏡を作るための技術的な報告が多いのですが、いざ望遠鏡の完成が現実味を帯びてくると、次はどのように運用していくのかという話題も増えてきます。

望遠鏡の観測時間の大半は京都大学をはじめ、全国の天文学者たちに割り振られて最先端の研究に使われるのですが、一部の時間は、寄附をしていただいた方や一般市民の方々に観望会という形で還元されます。
この観望会の在り方については、今回も含めて何度か話題に挙がっています。大きな望遠鏡で星を見る貴重なチャンスなので、ぜひ楽しんでいただきたいという気持ちは全員共通しているのですが、その実現方法となると意見は様々で、「テレビやインターネットで綺麗な星の写真を見慣れている人が多いから、高感度なカメラで撮ってモニタに映すのが良いのでは?」、「いやいや、望遠鏡を自分の目で覗いて見るという行為に意味があるんでしょう」、「でも大きな望遠鏡だと、どうしても高倍率になりすぎるから、空気の揺らぎで星がボケてよく見えないよ」、「他の望遠鏡の観望会では、空気で星が揺らいでいること自体に感動している人も居ましたよ」などなど、話はまとまらず・・・

ちなみに今の天文学者は望遠鏡を覗いて観測することはほとんどありません。
人の眼より高感度で、多くの情報を捉えられるカメラや分析装置を使って、パソコンのモニタ越しに観測するのが一般的です。もしかすると一度も望遠鏡を覗いた経験がない天文学者も大勢いるのかもしれません。

という訳で、観望会について皆様からご要望・ご質問などありましたら、このブログのコメント欄か、tenmondai-kikin@kwasan.kyoto-u.ac.jp宛にメールでお寄せ下さい。
観望会用に準備する設備は、まさに皆様のための設備です。眼視観測については素人な天文学者に向けて率直な意見をいただければ幸いです。



719日の技術検討会で発表に聴き入る参加者



2014年7月11日金曜日

天文台長の柴田です。

先日、620日~29日に英国とチェコに海外出張してきました。 英国天文学会の plenary talk に招待されたのと、チェコ・プラハで Prof Z. Svestka 追悼の国際会議 Solar and Stellar Flares の会議(私もSOCの一人)に出るのが主目的の海外出張です。ともにスーパーフレアが目玉の話題です。折角なので、ついでに英国のグリニッジ天文台を見学してきました。ここでは、グリニッジ天文台訪問の話を少し紹介します。
 
  グリニッジ天文台は、ご存知のように、経度0の基準、世界時の基準となる、世界で最も有名な天文台です。ところが、研究の第一線からしりぞいているらしい、今はどうなっているのだろう?というのが最近の私の関心でした。調べると、博物館・市民天文台(国立海洋博物館national maritime museum の一部) として多くの観光客がやってくる観光名所となっているようなのです。花山天文台の未来を考えるためには、ぜひとも見学・視察してその運営のやり方を参考にする必要がある、というわけで行ってきました。
 ロンドンの中心に行き、船でテムズ川を下りグリニッジに到着しました。途中の船からの眺めは抜群。ロンドン全体の様子が良くわかりました。グリニッジ天文台の最寄の港は、かつて大英帝国の多くの船が航海の後、ここにやってきた港なのです。航海にとって天文の知識は安全航海のための必須の知識でした。だから天文学は実用学問であり、「天文学者」は偉かったのです。だから英国では Astronomer Royalという官職があります。過去には、ハレー彗星のEdmond Halleyが第2代(1720-1742)、電波天文学でノーベル賞を受賞したMartin Ryle12代(1972–1982)のAstronomer Royalでした。現在この職についているのはケンブリッジの理論天文学者 Martin Rees (1995present)です。
グリニッジ天文台は小高い丘の上にあります。ロンドンの街の眺めが素晴らしい。入場料は7ポンド(~1200円)。入ってすぐのところで人々が並んでいるので何があるのだろう?と、たどっていくと、prime meridian (経度0の線=本初子午線)が地面に書いてあり、本初子午線記念碑の前で、それを人々がまたいで写真を撮るのを待っていました(写真参照)。それが人気らしい。私は残念ながら時間がないのでパスしました。
グリニッジ天文台には、昔ながらのフラムスティード初代天文台長が住んでいた建物、Meridian Building(子午線館;子午環(これは花山天文台にもあります)や四分儀、さまざまな種類の時計が展示)28インチ(71cm)望遠鏡ドームがあるほか、最新のプラネタリウムやミュージアム(天文学の歴史や最先端の天文学の成果を紹介)もありました。
 ミュージアムでは、天文学の歴史の展示コーナーのところに
1054  Chinese and Japanese astronomers note a new star flaring up in Taurus.
The remains are now identified as the Crab Nebula.
と書いてあったので、ちょっと嬉しくなりました。(欧米人は意外と知らないので)
 28インチ望遠鏡ドームの壁には観望会の案内が貼ってあり、見ると参加費が結構高いのに驚きました。2時間でプラネタリウム付ですが、大人一人16ポンド(~2780円)、会員は14ポンド(~2400円)、子供は12ポンド(~2100円)。ちなみに、NPO花山星空ネットワークでは、大人1300円、子供700円、NPO会員1000円、で観望会をやっています。英国ではこの倍の値段でやっているのか!というのが衝撃でした。
 立派なみやげものショップが2箇所もあり、さらに軽食が取れるカフェもあり、半日たっぷり楽しめるところでした。
 
   10年後には、岡山3.8m望遠鏡が世界の最先端の研究を牽引する傍ら、花山天文台はグリニッジ天文台のように世界中から観光客が集まる観光名所(かつ教育普及と文化発信の拠点)になっている、というのが、私の夢です。
(2014年7月5日)





                グリニッジ天文台の Meridian Building(右図)。
                 人々がprime meridianをまたいで記念写真を撮る
                (左下図)ため、並んで待っている。
                                             (2014621日)