2020年5月22日金曜日

コロナIII

 光学など担当の岩室です。


 もう、最近はこの話題しかありません。前回情宣した京都混声の演奏会は当然中止となり合唱団の活動も事実上の休止状態ですが、東京から帰省していた娘がコロナの影響で帰れず、2か月近く京都にいる状況が続いています。今回は娘の大学で最近始まったオンライン授業でわかったことと、私が大学で始めたオンライン授業で分かったこと、受け手と送り手両方の側から見て気づいたことなど書きたいと思います。


1. 我が家のネット契約はひどいものだった
 我が家は20年近く前に結構離れた南側に建ったマンションのせいで、地デジ化のはるか前からケーブルテレビ(みやびじょん)です。その際に、一緒にケーブル回線を通してのネット契約もしたのですが、よく考えたらその後一度もその契約を見直していませんでした。まあ、私自身あまり動画を見ることもないし、はるか昔からテレワークに相当するネットの使い方をしていましたが、基本的には文字情報のやり取りだけなので、ほとんど通信速度は気になりませんでした。しかし、娘が自宅からオンライン講義を受講すると頻繁に止まってしまいます。この原因は安物の Wifi 性能にあるのではないかと思い、回線速度を計測する Web サイトで Wifi ありと直結とで測定したところ、なんとどちらも 22Mbps というびっくり数値でした。Gbps の時代でこれは遅すぎます。しかし、よくよく考えたらうちのネット契約は10数年前のスペックだという事に気が付き、契約内容を見直してみたら月額5千円以上払って 24Mbps という、業者にとってはウハウハの内容だったのです!(契約当初は、プライベートな Web ページを開設できるサービス付きで、個人ページも利用していたのですが、いつしかそのサービスも無くなってそのまま...) 早速、現在の基準での契約に改めたところ、ケーブルテレビのチャンネル増加+320Mbps でほぼ同額でした。
 ここでわかったこと:ネット契約は5年おきに見直すべし


2. 高性能マイクが品薄
 娘は声楽レッスンをリモートで受けることになるため、パソコンのマイクではまずいと思い、アマゾンでできるだけコスパの良さそうなマイクを探してみました。私が学生時代から時々使っていたマランツという会社のコンデンサーマイクを価格と信頼度で決めたのですが、到着まで3週間かかり、購入時は 6,400円だった価格が、今見ると 15,000円になっています。皆、自宅生活でのにわかユーチューバーが増えて、高性能マイクの需要が世界的に一気に高まったものと思われます。皆、スピーカにはこだわりがあっても、マイクの必要性をあまり感じない生活でしたからね...
 ここでわかったこと:品薄になりかかっていると思ったら即決すべし


3. 会議ソフトは CPU の負担が大きい
 大学生の使う PC なんてのは、Youtube が見れて Office ソフトが使えれば十分、ということで入門用の最安ノートしか与えていなかったのですが、使用するソフトによってはリモート講義を受けるには厳しいということがわかりました。京大ではリモート講義で zoom を使っていますが、娘の大学では4月末から一般に解禁となった Google Meet を使っています。ところが、このソフトはブラウザの内部で起動するため、ブラウザと合わせてかなりの CPU パワーを必要とするもので、Celeron の安物 CPU では常時 CPU が 100% 越えとなり、使用に耐えません。さらに、Firefox との相性は最悪で、画面共有を Firefox が許可しないため、接続先が共有しようとするとフリーズしたような状態になります(それが判明してからは Chrome から起動するようにしましたが...)。ぞれに対し、zoom は安物 CPU でもギリギリ大丈夫なようです。セキュリティには難ありですが安定して講義内容を伝えるには zoom の方が優秀だと感じました。Google Meet を安定して使うためには Core i5 以上が必要なようですので、なかなかこれをリモート講義の標準として使うには PC の性能としての敷居が高いですよね...
 ここでわかったこと:Google Meet は重い!


4. Windows のシステム更新に注意
  5月中旬にかなりの大きな更新が Windows10 に入りましたが、正にその時が私の1コマ目の講義の開始15分前でした。ただでさえ非力なノート PC での講義なので、バックグラウンドでのシステム更新はつらいと思い、更新を7日間一時停止というモードに切り替えたところ、いきなり途中まで進めていた更新を戻す作業が始まり、何もできない状態になってしまいました。急遽、自分の個人用ノート PC を持ってきてカメラとマイクを接続して始めたのですが、超ドタバタでした。zoom を使っていたとしても、非力な PC ではリモート講義のタイミングと Windows のシステム更新のタイミングがぶつからないように気を付けないといけないので、ここでも高性能な PC の必要性を感じました。いつも使っている講義用のノート PC が使える状態になっ たのはモード切替後40分近く経ってからだったので、バックアップの PC が無かったら致命的です。同じ状況で講義や会議ができなかった人は世の中に沢山いるのではないでしょうか。
 ここでわかったこと:更新プログラムインストール中に7日間一時停止すると最悪


5. リモートでの評価は大変
 どこの大学でも今年度の前期試験は取りやめになっているかと思いますが、この状態で正しく評価を行うには、とにかく、自筆で多く書かせて提出させるしかありません。何だか昔の小学校の漢字の宿題のようです。でないと、すぐに模範解答ファイルが出回ってそれぞれがちょっとだけ修正したものを提出するでしょう。なので、私の講義は全て自筆で書いたものを写真またはスキャンして提出にしています。また、毎回図を描くものを含めた A4 1枚程度の課題を出すようにしているので、たとえ模範解答が出回っても、自筆で書き写すだけでそれなりに勉強になるはずです。但し、このやり方は見る方が大変です。100名を超える学生から毎週 A4 サイズにびっしり書かれた課題が提出されるので、頻繁にチェックして提出されたものを片っ端から採点して返却しないと、すぐに溜まってしまいます。しかも、紙ではないので、いちいちファイルを開けないといけません。テレワーク中はかなりの時間をこれに割けるのでまだいいですが、解除になって実験とか始めると結構厳しいかもしれません... それにしても、筆記のできない入試などありうるのでしょうか?
 ここでわかったこと:正当な評価はやはり筆記試験がベスト


 それにしても、夏の甲子園も中止となってめちゃめちゃ気の毒です。全国を8ブロックに分けてそれぞれの地方でベスト8まで進め、準々決勝からのみ甲子園で行えばいいかと思うのですがどうなんでしょうかね。他にもコロナ対応に関しては言いたいことが色々あるのですが、大学教員なんてのはこの状況で最も恵まれている職業だと思いますので、文句は言えない立場です。この先、所得税を大幅 UP して大学教員を含め収入があまり減らなかった人たちからぶん取ってもらいたいと思います。