2018年3月7日水曜日

近未来の話 -3.8m望遠鏡の愛称とプラネタリウム番組-


こんにちは。広報・サイエンス担当の野上です。

前回の私の記事は2017年10月27日のもので、そこでは3.8m望遠鏡の愛称募集のことを書きました。10月27日に募集開始で12月20日までの約2ヶ月間で、日本全国から幅広い年齢層で1000件を超える応募を頂きました。我々の想像をはるかに超える反響でした。応募していただいた皆様、本当にどうもありがとうございました!

愛称案と合わせて愛称の由来も書いていただきましたが、「なんとなく」というものから小論文か?と見紛うようなものまで様々で、中には感動を覚えたり勉強になったりするものもありました。皆様の期待をひしひしと感じ、我々もきっちりと望遠鏡や観測装置を作り上げ、後世に残るような科学的な成果を挙げていかなければと思いを新たにしております。

さて、この愛称の選考委員会が先日開催されました。いろいろな観点から非常に活発な議論の末、決定に至りました。結果や詳細についてはいずれ正式な発表がありますので、それまで楽しみにお待ち下さい。今回選ばれなかったものの中でも、「これもいいなあ」というものも多数あり、今後の3.8m望遠鏡関連の何かで使われる可能性があります。意外なところで「あ、これ3.8m望遠鏡の愛称で考えたやつや!」という発見があるかもしれませんので、ご自分の応募された案を覚えておかれるとまた楽しみがあるかもしれません。

さて、それとは別に、コニカミノルタプラネタリウムさんが、3.8m望遠鏡を取り上げたプラネタリウム番組を作ってくれることになりました。このメンバーズブログ執筆陣の長田さんと栗田さん、そして私が出演します。実は既にプレビュー版は見せていただいたのですが、印象は「編集ってすごい!」(笑)。どこでいつ上映されるかは今後決まっていくことですが、楽しい番組になっていると思いますので、もしお近くで上映されるということになりましたら是非ご覧下さい。


大宇陀観測所の外観と
大宇陀観測所から岡山天文台に送られた
本棚とソファー




2018年2月26日月曜日

もっと昔の話 ― 雪露天じゃなくFrozenでもなく「虹と雪のバラード」


リーダの長田です。

「君の名は。」の地上波初放送を録画して、さらにそれをいつまでもほうっておいて、しかし、やっと見ました。みつはーーーーー! 百武すい星、ヘール・ボップすい星、さらに昔にさかのぼればハレーすい星、それは私が何とかハワイ大学にポスドクで雇ってもらえた原因のありがたいすい星ではあるのですが、その時は地球との相対関係があんまり良くなくて大して壮観な思い出にはなりませんでした。それで「君の名は。」のようなことにはならなかったわけで・・・。(以上、見ていない人には意味不明のコメントでした。)

さて、もっと昔、1972年に札幌で冬季オリンピックがありました。その公式曲として「純白の大地」という古関裕而の行進曲や賛歌があるのですが、私も先日のNHK-FM番組「クラシックの迷宮」まで全く知りませんでした。古関裕而は1964年の東京でも「オリンピック・マーチ」を作曲してとても有名な曲となり、また「巨人軍の歌」「大阪タイガースの歌」「ドラゴンズの歌」のすべて、さらについでに「君の名は」(1952年からNHKラジオで放送されて、番組が始まる時間になると、銭湯の女湯から人が消えたという伝説のドラマの方)の主題歌なんぞも作ったという、すごい人です(72年当時60代になったところ)。だけどこの札幌オリンピックの曲は全く知られていない、知られているのはむしろ「虹と雪のバラード」でしょう。私の世代だとちゃんと歌える人も多いはず。

何ゆえオリンピック・マーチや「闘魂こめーて」や「六甲おろーしにサッソウと」の線の曲である「純白のだーいち踏みしめー」が流行らなかったのかと言うと、1968年のグルノーブル冬季オリンピック映画とその主題歌「白い恋人たち」(クロード・ルルーシュ、フランシス・レイ)がウィンタースポーツのイメージを一新していたからだ、とNHK-FMの片山杜秀さんは言うのです。

そして、番組は、廣瀬量平(札幌五輪時41歳)、矢代秋雄(42)、武満徹(41)、山本直純(39)といった人々が委嘱された実に素晴らしい他の数々の公式曲をかけつつ、終わりました(年齢を調べたのは私なので、間違っていてもNHKの責任ではありません)。

40歳前後の人たちが中心になって作る3.8m望遠鏡、やっぱり「昔の名前で出ています」といった人間は精一杯サポートに回らないとねえ、いつまでもオレがオレがという老人はみにくいもんです。あ、古関裕而さんがそんな人だったというわけではありませんよ。それに、61歳頃に太陽からの赤外線を発見したハーシェルや68歳で天文対話
(Dialogue Concerning the Two Chief World Systems)
を出版したガリレオを例に出すまでもなく天文学ではトシをとってもすごい人、たくさんいますから、私も頑張ります!




写真:京都丹後鉄道「はしだて5号」の車内。京都府の北の端の峰山高校に19日に出前授業に行って来ました。峰山駅の駅舎は糸をかけた織機を模したデザイン。峰山高校の先生がおっしゃるには、10日・11日には神戸の舞子高校(私の育ったところのすぐそばの高校。その高台の校庭からは隕石孔が良く見えて・・・というのはウソ)に行って震災の場所巡りをなさったとか。その10日に舞子高校の生徒が、京大で開催の宇宙ユニットシンポジウムで優秀なポスターのユニット長賞を受賞し、私は舞子高校の生徒に賞品を渡していたのでした。
 https://www.usss.kyoto-u.ac.jp/symposium11.html
糸の(ホントはちりめんの)峰山・舞子・京都での入れ替わりです! (まだ「君の名は。」に酔ってます。最後まで、見ていない人には意味不明で、失礼しました。)



2018年2月9日金曜日

Frozen 氷の結晶


プロマネの栗田です。

 寒いですねー。なんでこんなに寒いのだろうと不思議に思います。日常使う摂氏は水が氷る温度で定義されていますが、物理的な意味はありません。むしろ絶対温度に意味があります。0℃は絶対温度で273度で、暖かいなぁと感じる15℃は絶対温度で288度です。その差はわずか5%ほど。なぜ人間はこのわずかな差を大きく感じるのでしょう。(鈍感ならいいのに)。気温の物理的な意味は空気中の分子の速さです。分子が激しく飛び回っていると暖かく、静かになると寒くなります。激しい分子はチクチクと肌を刺激し、静かな分子は優しく刺激するのに。。その分子の速さは0℃で秒速数百メートル程度。温度は速さの2乗に比例するので、分子がたった2%だけ遅く飛び回ると寒く感じるのです。体内が水で満たされているので、0℃付近に敏感なのでしょうか。人間は裸ですからねぇ。寒さの不思議を思うといつも動物園の夏のペンギンや冬のオラウータンを思い出します。ほとんど虐待に見えます。。




  先日、みぞれが降った良く晴れた翌朝、車のフロントガラスにとてもきれいな氷の結晶ができていました。我が家にだけ天から舞い降りた天使の羽か!残念ながらそんなメルヘンな話ではなく、屋根のない駐車場の車のフロントガラスはみなこんな感じでした。
放射冷却で空気中の水蒸気が過冷却状態になり、冷たいフロントガラスに触れ、氷となって張り付いたのですが、どうしてこんな模様を描けるのかが不思議です。自然が芸術家のような絵を描き、またそれが水とは全く関係のなさそうな鳥の羽やシダのような模様となる。

  雪の結晶といえば中谷宇吉郎が有名ですが、朝永とともにノーベル物理学賞を受賞したファインマンの著書から引用したいと思います。「(原子は)互いにくっつき合ってエネルギーができるだけ低くなろうとする。ある原子がエネルギーの低いパターンを見つけたら、ほかの原子も真似をするだろう(ファインマン物理学IVより)」。真似をすることで氷の結晶の様に規則正しい繰り返しのパターンが生まれるんですね。

  しかし、この結晶の曲線美は雪の結晶とも違い、単純ではなさそうです。暦の上では春の到来ですが、チャンスがあれば観察してみたいと思います。





2018年2月7日水曜日

雪露天

惑星観測装置担当の山本です。

 なんだか毎回同じ様な枕詞になってしまっているのですが、1月26日掲載予定であった本記事では「2018年1月28日/29日」のお話をさせていただきます。ある意味、前回の記事の続篇です。

 おさらい:25年来の友人の結婚式があり、そこで友人代表スピーチをいたしました、と言うお話を前回記事にさせていただきました。結婚式に参加した友人というのは、小学生からの友人が4名と、高校生からの友人が2名、という内訳で、小学生からの4人のうち私を含めた3名は、私が帰省すると晩ご飯に誘ってくれたり大晦日には集まって鍋を囲みながら年を越したり、と成年してからも太い付き合いを続けてこられた面々です。それぞれまったく違った人生を歩んでいますので、夢を語りあい苦楽を共にしてきた、と言うわけではないのですが、特に理由が無くても一緒にいて当然、というある種家族のような関係ではありました。

 さきほどより、25年来だ家族だ、などと自慢げ(?)に言っているのですが、実はこれまで泊まりがけの旅行というのをやったこともありません。成人した十数年以上前から、どっか行きたいね、と言う話は出ても、先ほど上げたように毎年年越しで集まっていますし、いつか行けるだろうという慢心からか、この歳までズルズルときてしまいました。たしかにこれから先しばらくは、いきなりメンバーが欠けると言う事も考えにくいところではありますし、それぞれ業種が違うメンバーの日程を合わせる面倒などを考えると、ついついその場の議題になるだけで具体化されずに後回しになっていました。

 とはいえ、今回友人が結婚した、と言う事で、今後は当然彼の家庭の事情が優先されるでしょうし、この先子供などが生まれたらさらに我々との都合を合わせることが難しくなることが簡単に予測できます。ということでいよいよメンバーも気持ちを入れ替え、旅行を具体化させることになりました。旅行の話が出る度に、今回結婚した友人が以前より「(  )と行った雪の露天温泉をおまえらにも見せてやりたい」という話をしており、丁度時期的にも都合が良く、それぞれの繁忙期にかかっていなかったので、実現の運びとなりました。目的地は奥飛騨の平湯温泉です。

 日程と目的地が決まった後は、交通手段や観光ルートなどを決めていきました。レンタカーにするのか冬用タイヤを買うのか、高山へ寄るのか白川郷を経由するのか等、各種検討をレポートにまとめて回覧するなど、普段の仕事より気合いが入っているかも知れないような、そんな3ヶ月弱の計画検討を経て、メンバーの中の1人は、何かイベントがある度に肩を脱臼したりインフルエンザにかかったりするので、励まし、注意し合いながら、ようやく当日を迎えられました。

 当日は関東を大雪が直撃した週でしたし、メンバーの住む地元にも雪が降る様ななかなかの悪条件ではありました。雪の遅延は考慮に入れた旅程だったのですが、それとは無関係に人身事故が起きて私とメンバーの合流が遅れたものの、それ以降は事前検討の甲斐か、ほぼ予定通りに旅程をこなせ、遅延なく宿にチェックインすることができました。

 宿の離れには予約制の貸切露天というものがあり、最低限の灯りと脱衣のための小屋があるだけで、あとは雪と空と山が見えるのみ、という大変風流な場所でした。とはいえあまりにも暗かったので、雪以外の闇が道なのか岩なのか湯なのか分からず、「本当にお湯があるのか?」と思った友人が浴衣のまま様子を見に行ったところ闇夜に空いた湯面に吞まれ消えていったものの、その後もう少しマシな照明のスイッチのありかを見つけ、我々は無事にお湯につかることが出来ました。


貸切露天の様子。灯りはこの照明と月明かりのみ。

旅行レポではないので、高山で買った地酒を楽しんだ話や、早朝に起きて雪の大露天風呂で夜明けを迎えたことなどは置いておいて、これくらいで旅のお話はお開きですが、いくつかのアクシデントはあったものの、基本的には無事に、楽しく旅を終えることが出来ました。予測の付かないこと、予測通りのこと、色々ありますが、目的を見失わず、これからも行きたいものです。きちんと落ちたか落ちていないかも良く分かりませんが、最後までお付き合い下さってありがとうございました。

それでは!




2018年1月12日金曜日

昔の話

光学など担当の岩室です。

 今回は20年前の話です。
 先日、昨年大ヒットした「君の名は」が地上波初放送だったので、どんな映画かと思い見てみました。映画の内容は別として、まあ、よくある科学者的視点から気になることも色々あったのですが、空いっぱいに広がったティアマト彗星のシーンがちょっと気になりググってみました。すると、やっぱりいらっしゃいますね。このシーンを真面目に検討している方が。<こちらのページ>によると、巨大彗星からは「イオンテイル」と「ダストテイル」の2本の尾が出るので、それが描かれているようですね。彗星の見える時間帯と尾の向きも気になったのですが、こちらに関しては当初の映画の設定では彗星の軌道に無理があったようなので気にしないことにします。このシーンを見て、20年前に連続してやってきた2つの彗星を思い出した人も多かったと思います。

 まずは百武彗星ですね。<グーグルで百武彗星画像検索>すると綺麗な絵が沢山出ますが、肉眼での印象は「あれがそうかな...」程度で事前にハレー彗星並みと騒がれた割にはかなりモヤっとした感じだった記憶があります。この時、私は物理教室の助手で、上司だった舞原名誉教授(当時助教授)とともに建設中のすばる望遠鏡に取り付ける第一期観測装置を開発しており、その関係で1996年の3月下旬に2人でハワイ大に別件で立ち寄ってからアリゾナに出張しました。百武すい星はその時にハワイかアリゾナのどちらかで見たのですが、日本では空が明るくて全く見えなかった彗星が暗い空に薄っすらと見えて、舞原さんと「あれがそうかな...」と確認した記憶があります。見間違えの可能性はありますが、夜の9時頃にほぼ天頂に見えて感覚的には30°以上に尾が伸びていました。今同じチャンスがあれば必ずカメラと三脚を持って行くはずですが、その頃はその数年前に木星に衝突したシューメーカー・レヴィ彗星の件もあり、彗星はホイホイ飛んでくるような錯覚があってあまり気にしなかったのが残念です。

 群を抜いてインパクトがあったのがヘール・ボップ彗星です。<グーグルでヘール・ボップ彗星画像検索>すると、これまた綺麗な絵が沢山出ますが、これらは写真で撮ったもので肉眼ではこれほど壮大には見えません(少なくとも日本では見た記憶が無いです)。私は、大学院生時代に独自開発したソフトで新しい観測装置を設計し、舞原さんとともに実機を開発してハワイ大の2.2m望遠鏡に取り付けて何度か観測したのですが、確かその最後の観測が1997年の3月にあり、舞原さんとマウナケア山頂のハワイ大ドームで観測をしていました。観測終了直前の明け方の薄明の頃に、望遠鏡を動かしてくれるオペレータに「いい景色が見れるから外に出てみろ」と言われて観測室からドーム外壁外側の周回テラスに出たところ、目の前に正に上記グーグル画像検索に出てくるような彗星が、東の空にほぼ天頂方向に10°程度に尾を伸ばして見えていました。通常であれば写真でしか見れないような景色が、さすがマウナケア山頂の条件の良さのおかげで薄明にも関わらず尾の状態まではっきりと肉眼で見る事ができました。この時ばかりは何でもいいからカメラを持ってこなかったことを残念に思った記憶があります(多分、使い捨てカメラでもかなりいい絵が撮れたと思います)。その後数年経ってすばるが完成した際に幾つか写真をもらったのですが、その中にすばる望遠鏡と共に写るヘール・ボップ彗星の写真もありました。Web には同じ写真が上がっていないようなので、撮影者不明ですがスキャナで取り込んで上げておきます。



 この写真は彗星が夕方の西の空に写っているので、私が見た時よりもかなり後の暗くなった状態のものであるのが残念ですが、この写真でも2本の尾が確認できますね(実はナトリウムテイルという第3の尾もこの彗星では発見されたようです)。印象としては、私が見た時は明るさも大きさもこの2~3倍あった感じです。

 これ以降巨大彗星は見ていませんが、次に見える機会があれば是非綺麗な写真を撮りたいと、「君の名は」の映画を見て思ったのでした。




2017年12月28日木曜日

流星の音

流星の音ってなんや?と言われそうであるが、文字通り流星(流れ星)の音である。流星が流れた「瞬間」に「ザー」とか「シュー」「パチパチ」等の「音」を聞いたことがあるという人が時々いる。流星の音は古くから知られていて、中国の史記にも、音のする流星を「天狗」と呼ぶといった記述がある。(但し、これは極めて明るい流星で火球と呼ばれるものかもしれない。図参照) 私も、高校生の時に一度だけ「聞いた」ことがあり、以来ずっと気になっている。

流星は本当に星が流れる現象ではない。宇宙から地球に落ちてきた小さな塵が猛スピードで地球大気に突入し、地表100km付近で発光し、これが流星として見える。音は音速で伝わるので、仮に流星が本当に音を出したとしても、流れてから何分か経たないと聞こえないはずである。ところが、流星が流れると同時に聞こえるので、この「音」はほぼ光速(電磁波の速さ)で伝わるということになる。すると、「電波が聞こえる」という話になるので、アブナイ人と思われる。

しかし、電波は「聞こえる」らしい。マイクロ波を周期的に人間に照射するとその周期に同期したクリック音がするという実験があるらしい。これは、脳内でマイクロ波が水を温めることで発生する振動が音として認識されているということらしい。ただ、これが流星の音の原因だとすると、単純計算では極めて強度の大きな放射エネルギーが必要で、流星がそんな巨大なエネルギーを放射するとは考え難い。と、いうことで私には依然として謎のままであった。

さて、2017年12月6日に、京大理学部の2回生数人がオーロラの音についてアラスカで調査してきた報告会があって、私も出席した。オーロラも100km以上の上空にあるものであるが、昔から音が聞こえるという話がある。それを「聞き」、そして各種測定をしに行ったというものである。工夫や考察にみちた大変面白い話であった。その行動力、研究内容には大変感心したが、その中で流星の音に関する新しい説が論文になっていることを知った。(Spalding et al. 2017, Scientific Reports, vol. 7, 41251 doi:10.1038/srep41251)

この論文では、光の強弱の振動が人間の身の回りのもの(髪、服、木の葉等)を暖めて、それが振動を起こし、耳に聞こえるという新説を提唱している。実験も行い、5W/㎡の光を1kHzで明滅させ、その横に黒いフェルト、屋根のタイル、松の木、緑葉などを置くと、だいたい数10 dB SPL(dB Sound Pressure Levelはいわゆる騒音を測る際に用いられるデシベル)の音がしたという報告である。理論的な粗い計算とも矛盾しないという。つまり人間の耳で十分聞こえるというわけである(通常の会話では40-50デシベルらしい)。なかなか面白いが、ただ、この論文で報告されている例は、いわゆる火球というべき、非常に明るい流星のモデル化であり、普通の流星ではそこまで音は聞こえないのではないかと思われる。また、流星の場合、聞こえないことが一般的なので、聞こえる条件は何なのか?まだよくわからない。

太田 2017年12月26日







史記、天官書第五の一部。これを見ると、
何かが落ちてきた形跡があり(有聲の後)、
流星というより火球、
そして隕石のように見える。








2017年12月15日金曜日

惑星の多様性についてつらつら思うこと

 今、理学部3回生向けに「惑星物理学」の講義を毎週木曜日にしています。以前は「恒星物理学」の講義を担当していました。惑星と恒星、どちらも夜空に光る星ではありますが、講義の内容(というか傾向)は随分違います。

 恒星物理学は、20世紀前半にその内部構造についての基本が確立しました。基本方程式がたてられ、それを基に恒星進化計算がなされ、観測との比較研究が進み、精緻なレベルで理解が進んでいます。したがって、「恒星物理学」は、「これが基本」「ここからこんな知見が得られる」というトップダウン的な講義になります。

 一方で惑星物理学はそうはいきません。実に多様性豊かで定型がほとんどありません。恒星と惑星でどうしてそんなに違うのか。いろいろ理由があります。たとえば恒星内部でガスは、ある決まったふるまいを示しますが(専門用語で「状態方程式が決定する」といいます)、惑星内部の主成分である岩石や金属、その混合物の状態やふるまいは、複雑でそう単純には記述できません。また、太陽系惑星の場合、探査が進んでその違いがはっきりしていることも、惑星の多様性が目立つ一つの理由かもしれません。そもそも、地球と金星を比べてみても、大きさや質量はほぼ同じ、太陽からの距離もそう大きく違わないにもかかわらず、性質は随分違います。「惑星は個性だ!」とつくづく思います。

 惑星の学びでは、その世界を(人ごとでなく)いかに身近に感じるかが重要に思います。そこに旅行したらどんな気分になるだろうか、どんな風景が広がっているのだろうか、などと想像してみることは楽しみであると同時に、宇宙や天体に関する理解にもつながると(勝手に)思っています。


 幸いなことに、太陽系の惑星や衛星の画像がネットから簡単にとってこれるようになりました。添付の図は火星の風景です。いずれ人類が火星に移住したとすれば(想像してください!)、余暇にこんな場所に出かけることができるようになるかもしれません。

嶺重 慎


画像:クレーターの底に広がる砂丘
(PHOTOGRAPH BY NASA, JPL, UNIVERSITY OF ARIZONA)