2014年10月3日金曜日

2014.10.3

   鏡製作担当の所です。

日本・アメリカ・カナダが中心となり計画を進めてきた、超大型望遠鏡TMT (Thirty Meter Telescope)の建設が本格的にスタートしました。
この望遠鏡は対角1.44mの六角形の分割鏡を492枚組合わせて口径30mの主鏡を構成します。日本は望遠鏡本体構造や分割鏡の製作などを担当することになっています。
分割鏡の製作は国立天文台とキヤノン()が共同で進めるようですが、今年6月にカナ ダで開催された学会の集録をみると、日本独自の技術ではなく、Keck望遠鏡の分割鏡で実績があるstressed mirror polishingというアメリカが開発した技術を用いて分割 鏡を製作する方針になったようです。
ものづくりに携わる者として、日本の技術が採用されなかったことが残念でなりません。TMTの次の計画(20402050年に口径100m?)では鏡の製作に日本の技術が採用される よう、地道に技術開発を進めていかなくてはいけません。

さて、京都大学3.8m望遠鏡の建設予算がつき、先月から分割鏡の量産を開始しました が、これと並行して新しい鏡面加工技術の開発を大阪電気通信大学と共同で進めています。
秘密保持契約の関係で詳しい説明はできませんが、この新しい加工技術は研削と研磨 の良いところをとったもので、研磨より格段に加工能率が高く、研磨では避けることができなかった縁だれを生じない画期的な鏡面加工方法です。
写真は加工実験の準備風景で、大阪電気通信大学が所有するNCフライス盤に専用の工 具回転軸を取り付けたところです。

ちなみにこのNCフライス盤は、NC部は30年前、フライス盤本体は40年以上前のものです。きちんと作られた機械は、適切なメンテナンスを行えば何十年もの間、現役で稼動さ せることができます。
京都大学3.8m望遠鏡も数十年にわたって活躍し、数多くの新しい天文学的知見をもたらしてくれると期待しています。








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