2018年8月10日金曜日

天文教育と天文普及

 数ある学問の中から天文学を選んでよかったな、と今にしてつくづく思う理由の一つに、天文学は社会(一般市民)との距離が近い学問ということがあげられます。
 天文学と社会をつなぐ接点「天文教育・普及」活動に関する全国規模の研究会が、8月5-7日に慶應大学日吉キャンパスにて開かれました。主催は日本天文教育普及研究会(全国の天文研究者、小中高の先生、プラネタリウムや科学館など教育施設スタッフ、天文愛好者からなる団体)です。この研究会では毎回、思いもよらぬ、発想豊かな事例紹介が目白押しで、大きな刺激を受けています。今回も全部で160人超の方々が集まり、朝から深夜に至るまで熱い議論が繰り広げられました。初日にはJAXAの吉川真さんによる「はやぶさ2」の特別講演があり、また間瀬康文さんによる「はやぶさ実物大模型」の展示もありました(図1)。
 さて、今回の研究会、一つの大きな特徴がありました。初日限定ですが、すべての講演に手話通訳と、UDトーク(音声認識ソフト)を用いた言語情報の文字投影がついたことです。今回の研究会テーマは「みんなで楽しむ天文・宇宙」。宇宙や天文に興味をもち、もっと知りたい、もっと学びたいと思うことは障害のあるなしに関係ありません。しかしながら、音声情報を取り入れることが難しい聴覚障害者にとって、手話通訳などの情報保障がない会合には出席しづらいのです。そこで今回、本庄谷拓さんほか関係者の多大な協力を得まして、1日だけですが手話とUDトークを導入しました。
 今回、10人弱の視覚障害者・聴覚障害者の参加がありました。私は天文用語の手話表現をテーマに発表をしたのですが(内容はいずれまた)、参加の盲ろうの(視覚と聴覚に障害がある)方から今後の目標について質問がありました。「プラネタリウムや講演会等で、手話通訳や文字情報投影がごく当たり前になること」と答えました。

嶺重 慎


図1:はやぶさ実物大模型たけとよモデルⅡ
特定非営利活動法人ギガスター 間瀬康文氏提供