2014年12月12日金曜日

知のバリアフリー

 今年(2014年)11月に京都大学学術出版会から『知のバリアフリー~障害で学びを拓く』を刊行し、1210日に京都大学において山極京大総長、杉万京大理事も列席のもと記者発表を行いました。国立民族学博物館の広瀬浩二郎と私とが編者となり、京都大学の学生総合支援センター障害学生支援ルームに協力していただいてできあがった書物です。
 以下、私が中に書いたものの一部を引用します。

 私はふだん、ブラックホールに関する研究と、天文学に関する教育をしています。そういう事情なので、よく「なぜ、バリアフリーの学習教材をつくっているのですか」と聞かれます。恐らく、障害者教育は特殊な分野であり、教材づくりも、その専門家に任せておけばよいという考えが背後にあるのでしょう。
 でもそれは違う、と私は思っています。障害者が、さまざまなことに興味・関心をいだくのは当然のことです。私たちは、障害者教育や福祉のプロではありませんが、各の専門分野に関して、それなりの知識や経験があります。だから、人の興味・関心にできる限り応えるべく、障害当事者や障害者教育のプロと組んで教材づくりをしようというのが、私の活動の原点です。実際、できた教材を使っていろいろな人と会話ができるのは楽しいことです。分野を超えた専門家同士の連携は新たな意欲と発想を生み出し、さらに深い学びへと道を拓きます。

 本書は、昨年6月に開かれた京都大学バリアフリーシンポジウムにおける講演がベースになっていますが、講演者にあらためて原稿を書いていただき、また出席者数人にコラムとして寄稿していただきました。大学における障害学生支援(第1部)と「障害」で学びを拡げる実践(第2部)から構成される、類書のない、じつにユニークな本です。カバーには盛り上がり印刷を施し、手触りも楽しめるように工夫しました。ぜひ手にとってみてください。
(嶺重 慎)







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