2015年2月10日火曜日

研削風景

こんにちは。鏡製作担当の高橋です。

今回は鏡を研削している風景を紹介します。京大岡山3.8m望遠鏡の主鏡は、(株)オハラさんから納入されたクリアセラムという硝材を研削、研磨して仕様を満たす形状に仕上げていくのですが、これまで一度も研削風景を紹介していなかったことに気づいて、少々焦ってしまいました。







これが、研削の様子を写した写真で、中央に見える黄色い物体が望遠鏡の主鏡、外周12枚のうちの1枚で、ざっくり1メートル四方のサイズです。続いて、左上の黒いのは砥石カバー、その下から少し見えている円盤が研削砥石です。静止画では分かりづらいですが、硝材は地面に垂直な軸に対して、砥石は奥の壁に垂直な軸に対してそれぞれ回転し、さらに硝材は画面右から左に向かって移動、それに伴って砥石は下に向かって移動していて、この動きで鏡が凹面に削られていきます。
硝材や砥石にかけられている液体は「研削液」とよばれるもので、砥石と硝材の摩擦熱を奪い、削りかす(スラッジ)を流す役割があります。研削加工には必要不可欠なものですが、これはただの水でなく、防錆材や潤滑成分などが含まれていて、少し臭うのが難点です。加工の観察などしている際に濡れてしまい、しょんぼりしてしまうこともあります。

さて、この研削加工ですが、一回の加工で削り取る厚さは0.03mm。これは粗加工時のもので、仕上げ段階ではさらに少なく 0.001mmにまで下がります。外周用主鏡セグメントの最終加工深さは16mm弱なので、500回以上かけてようやく必要な形状が得られます。

こうして、鏡は次々と加工されていくのですが、スラッジは研削液と共に流れていき、沈殿、ろ過などを経て液と分離されます。この分離されたスラッジ、鏡一枚当たり10kg以上でて、主鏡だけでも18枚あるため結構大量になります。
塊だった時にはかなり高価だったものなのですが、粉状になってしまうと。。
どなたか欲しい方いませんか?

  では、また。



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