2020年1月10日金曜日

日本天文学会天文功労賞


サイエンス担当の野上です。

あけましておめでとうございます。
昨年はせいめい望遠鏡の共同利用が始まりました。正直なところ、いろいろな点で見切り発車のようなもので、ソフト面・ハード面とも大小さまざまなことがあり、なんとかかんとか切り抜けてきた感じです。それでもトラブルに対応しながらだんだんと望遠鏡全体としての性能も上がってきて、観測もそれなりに順調に行えるようになってきており、ぼちぼち成果が上がってきています。今年はどーんと発表できるような成果を期待しましょう。私も頑張ります。今年もどうぞよろしくお願いします。

さて、私は日本天文学会の天体発見賞選考委員を10年ほど務めています。
この賞の歴史は古く、天文学会の天体発見賞受賞者名簿を見ると1936年から始まっているようです。初期は彗星の発見が多かったのですが、だんだんと新星・超新星に移行してきています。ここで表彰されているのは、いわゆるアマチュアの方々です。発見された天体を見ると、確かにその分野の研究が大きく進む契機となった天体が含まれています。
アマチュアの方々の活躍が今でも先端を切り拓く可能性のある研究分野は多分多くなく、これも天文学の魅力の一つなのでしょう。こういう天体発見における日本人アマチュアのレベルは世界一と言ってよく、その源流の一つである花山天文台の初代台長・山本一清氏のアマチュア育成の功績はいくら強調してもしすぎることはないでしょう。

そして天体発見賞選考委員会は、天文功労賞の選考も行ないます。これは、「天文観測活動等が天文学の進歩及び普及に寄与した、天文学研究を主たる業務としない個人、または団体を対象に、長期的な業績と短期的な業績に分けて表彰」するという制度です。この長期部門の選考で、私はいつも大きな感動を包まれます。

この10年の長期部門の受賞者転載します。
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18(2018) 吉田誠一
 彗星観測データベースのオンライン普及と新天体自動捜索プロジェクトの主導
17(2017) 冨岡啓行
 小惑星による恒星食の多数回観測と小惑星の衛星の検出
16(2016) 藤森賢一
 60年以上の長期にわたる太陽活動の観測
15(2015) 永井和男
 長期にわたる変光星の観測,自作ソフトウェアの公開、及び変光星観測者の育成指導
14(2014) 宮坂正大
 長期にわたる太陽系内小天体の位置観測と物理観測の指導普及活動、プロ-アマ協調における研究観測
13(2013) 堀川 邦昭
 長期に及ぶCMTによる木星面諸現象のドリフトの定量的観測の継続
12(2012) 前川公男
 長期にわたる電波ビーコン発信による流星電波観測への貢献
11(2011) 浜野和弘巳・浜野和博子
 長期にわたる緻密なライトカーブ観測による小惑星研究への貢献
10(2010) 門田健一
 長期にわたる膨大な数の彗星観測および新天体確認への貢献
9(2009) 板橋伸太郎
 60年にわたる太陽黒点観測
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 こんなんですよ!皆さん10年、20年と続けられていて、中には60年以上なんて言葉も出てきています。本当に長期にわたって、本業でもないことに時間もお金もかけて、コツコツとやり続ける方がおられるわけです。その情熱に胸を打たれます。本当に頭が下がります。きちんとその活動を認め、表彰する天文学会も素晴らしいと思います。

 さて、先日2019年度の選考委員会が開かれ、天体発見賞も天文功労賞も推薦する方が決まりました。正式な決定は113日の天文学会代議員会で決まるのでここでは明かせませんが、ふさわしい方となっていると思います。

 こういう方々を「選考する」という、大変おこがましいことをする委員に私も名を連ねているわけです。精進しなきゃいけないなあとわが身をふり返させられる年末年始が、この10年続いています。

 写真は正月らしく初日の出。
のトップページにあるものです。新年早々無断転載すいません。






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