春の心はのどけからまし、というが蓋し名歌である。3月半ばも過ぎると落ち着かなくなってくる。開花時期と満開時期はいつだろうか、どこへ行こうかと。
御所の北の近衛邸跡地付近の枝垂桜はやや早咲きで、まずはこれを見に行く。何本かの枝垂桜があるが、いずれも見事な枝ぶりに色も少しずつ違って、見ごたえがある。数日もすると染井吉野が盛りとなり、北部グラウンド横の花折断層を登って疏水分流を南下する。銀閣寺道までくれば桜のトンネルで、疏水の水路に枝が伸び出した様は風情がある。哲学の径までくると、桜だけでなく、雪柳とレンギョウが白と緑と黄色のコントラストをなして競うように咲いている。雪柳とレンギョウは何故か並んで咲いていることが多いような気がするのは気のせいだろうか。更に哲学の径を南下して大豊神社前までくると、これまた立派な桜の木があって、人気のスポットである。大豊神社に寄り道すると、遅咲きの見事な枝垂梅が見られることもある。若王子で哲学の径を離れ、永観堂前を通って、野村別邸碧雲荘の西側までまわると、そこは紅色の枝垂桜のちょっとした並木道である。しばし呆然として眺めいる。気を取り直して、桜並木を通り南禅寺門前を経て、蹴上インクラインまで歩く。ここも桜のトンネルである。少々歩き難いが、インクラインを上がっていくと、桜だらけの京都市内を一望することができる。歩き疲れたので今日はここまで。この先、蹴上を踏み越えて山科疏水まで行けば山桜の古木が多く、また違った風情が楽しめるが、また明日にでも。
さてそれから暫くすると京都の北の方の桜も咲き始める。土日に時間があれば、京北の常照皇寺へ。有名な御車返しの桜(一重と八重が一枝に咲く)は今はもう老木でほとんど咲かないようだけど、九重桜の巨大な枝垂桜もあるし、御所から株分けしたとかいう左近の桜もある。これでシーズン終わりかなと思うが、まだ御室桜は大丈夫かも、ああ忙しい。と、いうのが理想的なのだが、実際にはそんなに花見ばかりしてられない。やはり、世の中に桜がなければ春の心は落ち着くに違いない。
太田 2017年4月12日
この写真は家の近くの桜
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