2017年4月3日月曜日

老眼

最近、細かい文字がよく見えない。
と言っても本や新聞の文字が読めないという訳ではなく、もっともっと細かい文字の話。

望遠鏡の制御関係を担当してることもあって電子部品をよく使う。
ご存知のように電子機器は小型化の流れが進んでいるので、研究開発の分野でも扱うのも多くがチップ部品と呼ばれる極小の部品たち。
よく使う抵抗などは1.6×0.8mmというサイズで(これでもスマホやデジカメに入っている部品と比べたら十分に大きい)、表面には抵抗値を表す3桁の数字が書いてある。
1文字当たりの大きさは高さ0.6mm、幅0.3mmくらいだと思う。
20歳くらいの頃は難なく読めたけれど、30歳頃から38の区別が怪しくなって、最近では虫眼鏡の力を借りないと自信がない

老眼というのは眼のピント調整を行う筋肉が衰えて、近距離でピントが合わなくなる病気。
一般的には4050歳頃から自覚症状が出ることが多いのですが、実は10歳台の頃からピント調整能力の低下は進み続けているらしい。
4050歳頃になると、人が物を手に持って見る30cm程度の距離でピントが合わなくなり、生活に支障が出て気がつくという流れ。
先に述べた電子部品の例では極端に小さな文字を近距離で見ようとしたため、20歳代でも老眼に進みに気が付いたわけです。

視覚と同様に聴覚も歳とともに衰える。
人の耳は鼓膜を震わせた音が耳小骨を経て蝸牛管という渦巻状の空洞で共振を起こし、それを聴覚神経で感じ取って脳に伝える構造になっている。
高い音は波長が短いので渦巻きの入り口付近で共振し、低い音は奥の方まで伝わって共振するので、どの位置にある聴覚細胞が反応したかで音の高さが分かる。
歳をとると高い音が聞こえなくなるのは入り口付近の細胞からダメになっていくから。
若い頃は20kHzまで聞こえるけれど、40歳台では15kHz程度、60歳台では10kHz程度まで衰えると言われている。
学生に向かって「昔はテレビのブラウン管の音(水平走査周波数の15.75kHz)がはっきりと聞こえたけど今は怪しいなぁ。」と話したら「ブラウン管のテレビ自体を見たことがありません。」と返答されたことに一番歳を感じる今日この頃だったりします。


201743日  木野


大きさ1.6×0.8mmのチップ抵抗。望遠鏡の制御回路にもこのような部品が多数使われている。
103というのは初めの2桁が数値、最後の1桁が乗数なので10×103乗=10kΩの意味。



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