2012年11月14日水曜日

2012年11月13日

プロジェクトリーダの長田です。京都大学理学部が昨年から始めた、九州講演会へ行って来ました。
http://www.elcas.sci.kyoto-u.ac.jp/fukuoka2012/
「益川名誉教授と京都大学理学部の教授による講演会 ノーベル賞の源へ」というもので、高校生を主な対象として理学の面白さを語るものです。

私は、益川さんの前座として、「銀河系中心のブラックホールが光る」という話をしました。こういった現象をとらえるのは、まさに3.8m望遠鏡がねらっていることです。
講演の後、高校生からの質問に答えるのはとても楽しかったです。その中に、「ブラックホールの強い重力場って、研究すると何がわかるんですか?」というものがありました。私にも確かな答えはできないのですが、「私たちはいまや電磁場というものを良く理解していて、そこからいろいろな応用も出てきているけれども、マクスウェルの方程式が出たばかりの19世紀後半には、磁石を動かして電気なんか作っていったい何の役に立つのか、と言われた。重力場についてはまだまだ何もわかっていない。」と答えました。(ファラデーが、生まれたばかりの赤ちゃんが何の役に立つのかと反問したという話(どうやら後世の創作)も残っています。)

ちょっと手違いがあって益川さんの到着が遅れ、私の質疑応答が終わった時にやっと来られたのですが、益川さんは益川さんで、「エジソンの直流送電は結局、時代の波に耐えられず敗れ去った。彼がマクスウェルの方程式、あるいはせめてファラデーの電磁誘導を理解していれば、ちょっと複雑であろうとも交流送電を行なっただろうに。」と話され、基本を理解することの重要さを説かれました。私としては、期せずして本当にちゃんと前座の話ができたのでした。(実はその講演をお聞きしつつ、さらに私の思いはさまよって、益川さんが「ぼくはクラシックばかり聴いている」と言ってらしたことから演奏にも基本が大事・・・と流れていきました、それについてはまたいつか書きましょう。)
とにかく、この望遠鏡でも、しっかりと基本を固めて開発を行なっていきたいと思った次第です。

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