2014年9月12日金曜日

2020年代の光赤外計画書

こんにちは。観測装置担当の松尾です。
半年ぶりのブログになります。

今日は、私が最近携わっている「2020年代の光赤外計画書」についてご紹介します。そもそも、光赤外計画書とは何でしょうか?
京大3.8m望遠鏡やすばる望遠鏡は、可視光から赤外線の光を観測しています。また、宇宙に目を向けると、JAXAの赤外線望遠鏡「あかり」も同様に、赤外線からより波長の長い遠赤外線を観測しました。このような望遠鏡の開発や運用によって、科学的成果を挙げるコミュニティが自主的に形成されています。そのようなコミュニティの下で、およそ10年前の2005年に「2010年代に光赤外コミュニティとして、どのような科学的研究を推進するのか?」また「その科学的研究のために必要な望遠鏡や特色のある装置は何か?」ということが真剣に議論され、それを2010年代の光赤外計画書として2冊の本にまとめました。要は、そのコミュニティにおける指針となっています。現在でも、大変重宝されています。

このような検討は日本に限ったことではなく、アメリカも同様のことを行なっています。ディケイダル(10年間の)・サーベイ(洗い出し)と呼ばれており、波長を超えた枠組みでアメリカの進めるべき科学的課題を洗い出し、その順位付けまで行なっています。私は、2010年頃までアメリカに居たのですが、ちょうどディケイダル・サーベイのまっただ中におり、NASAJPL研究所で携わった計画がその主要な課題に挙げられず、チームが解散する事態を目の当たりにしました。アメリカにおける検討は、日本よりも強い影響力を持ちます。

話を戻しますが、2020年代の計画書は、これから5年・10年先を見据えて、2020年代に光赤外コミュニティとして何を推進すべきかを現在議論されています。私は、この計画書において、太陽系外惑星科学(太陽系の外に発見されている惑星を対象にした科学)として光赤外望遠鏡を使って2020年代に何を進めるかというサイエンスの立場から参加しています。将来の夢を膨らませてのある話も出来る一方で、研究者として責任のある立場で最重要の科学テーマを洗い出さなければいけません。また同時に、系外惑星科学の推進に必要な望遠鏡を考えていくことになります。


来年の夏に完成予定です。完成すれば、光赤外コミュニティから他の波長(高エネルギーや電波)のコミュニティへ発信し、また海外にも要約が発信されます。我々の渾身の一冊を是非ご覧ください。大事なことを書き忘れましたが、京大望遠鏡は地上望遠鏡計画の重要な位置づけになっています。



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