2015年8月28日金曜日

1 + 2 + 3 + … = ?

リーダの長田です。

私たちの望遠鏡は分割鏡なので、1枚、2枚、3枚、と、どんどん足していけるのだと私はよく言っています。だけど、数学者という人々は、「どんどん」というところにこだわり無限という概念に到達して、そこでは何か違うものが生まれるんだよと言うんですよね。

数学者ガウスについては以下のような話をかつて書きました。「ガウスが小学生だったとき、算数の先生が、生徒に計算をさせておいて一休みしようと思い、1から100までの数をすべて足すといくつになるかという問題を出したという逸話があります(真偽は不明)。しかしガウスはたちどころに等差数列の和を求める式を考え出して答えてしまったといいます。」その等差数列の、続きの話です。

さて、話はちょっと脱線して、ガリレオとニュートンというと天文学の父と母というか、望遠鏡にしても屈折望遠鏡と反射望遠鏡のそれぞれの生みの親と言えますよね。1642年にガリレオが亡くなり、ニュートンが生まれました(ニュートンの生年は英国が採用していたユリウス暦による)。日本では、この1642年頃に関孝和が生まれています。無限をかいま見た時に出てくるものの代表例が関-ベルヌーイの数で、B0B1B2B3となっています。これについては、英語版のウィキペディアに「ベルヌーイの数は、スイスのベルヌーイ、日本の関によって独立に発見され、1712年に関の「括要算法」と1713年にベルヌーイの「推測法」で発表された(どちらも死後)」と書かれています。(なお、日本語版には最初のところに関の業績についてのそういう記述がなく、私は大変不満です。)

リーマンのゼータ関数ζ(s)は、整数nに対して1 / nsという分数を作り、n1から無限大まで足したものとして、まず定義されます。最初にこれを研究したのはオイラー(1707-1783)でした。s1とおくと1 + 1/2 + 1/3 + … となって無限大になってしまいます。s=2とすると、1 + 1/4 + 1/9 + … となってこれは1.645ぐらいになります。実は、sに正の偶数を入れたものは、関-ベルヌーイの数Bnと円周率πで表すことができ、s=2の場合はπ2 / 6 とわかっています。どうして、こういう整数を組み合わせたものからπが出てくるのか、また、どうしてそんなことをオイラーが思いついたのか、本当に唖然とします。s=4の場合はπ4 / 90 になります。

さらにオイラーはζ(s)ζ(1-s)との間の関係を調べ、sに負の数を入れたものまで計算しています。驚くべきことに、s=-1の場合は、と言うと、なんと-1/12なのです。最初の定義だと、s=-1ってことは、1 + 2 + 3 + …なんだから、これを無限大まで足せば無限大になってしまうと小学生でもわかると思うのに、有限の、しかもよりにもよって負の数になってしまうというのです。オイラーがよくまあこんな結果を出したものだと感心せずにはいられません。(この後リーマンがうまくゼータ関数を解析接続という方法で拡張して、この結果がある意味で正しいことを明らかにしました。さらにラマヌジャンという天才も加わって、ゼータ関数は本当に数学のさまざまな分野へと広がって行きます。なお、s=-1の結果だけに限っても、20世紀後半に物理学で「ひも理論」に使われたりしています。)

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