2018年6月1日金曜日

きょうとの505

 惑星観測装置担当の山本です。

 唐突ですが、PHP研究所より『[決定版] 京都の寺社505を歩く(https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=4-569-69247-8)』という新書が上下巻で出版されています。タイトルの通り、京都を12のエリアに分け、計505もの寺社の来歴、見所、所感などが紹介されています。「せっかく京都に住むのだから、一般的な観光名所くらいは廻っておきたい」と思い、京都へ赴任する際に購入した本のうちの1冊(1部)です。健康のために、と5年ほど前に自転車通学から徒歩通学に替えて以来、散歩・散策にハマっており、また、それ以前にもなんとなく頂いた御朱印帳が持ち腐れ状態でしたので、これらを生かし切れるような、なかなか都合の良い本だと思っておりました。

 ただ、505というのはなかなかな数字で、初めのうちは本当にただ「参拝した寺社のことが詳しく分かればいいや」くらいの心持ちで、まさか「すべて廻りきろう」等という事は考えておりませんでした。実際、京都へ来る前から知っていたような超有名な寺社を廻ってみたところで10,20の寺社であり、その数十倍の寺社があると思うと、とてもすべて訪問、は現実的な考えには思えませんでした。


白円で囲まれた丸印が「京都洛北・森と水の会」洛北30社(地図では26社)。
貴船・鞍馬、大原、上賀茂・下鴨神社、曼殊院などが対象。


 とはいえ、時間が経つと積み重なるものがあります。最初の切っ掛けは、修学院の辺りをフラフラしていた時に参拝した鷺森神社で受け取った、「京都洛北・森と水の会」の企画パンフレットでした。この企画は、会員の社寺でご朱印を受ける毎にパンフレットに印を頂き、10個溜まると特製コースターを1つ頂けるというもので、総数30の寺社が参加していました。最初の10個は下鴨神社、上賀茂神社、八大神社、曼殊院など、京都市街からもアクセスし(徒歩で行き)やすい寺社でしたので、すぐ達成できました。しかし山を越えた寺社も多くあるので「ここらからさらに20個は流石にキツいな」と思い、あまり進行しませんでした。しかし大原や鞍馬に行ってみると又一気に印が増えるので20個も達成してしまいます。ここまで来てしまうとなんとか残り10個を、と欲が出てきてしまい、岩倉辺りを休日毎にまわって結局、足かけ3年で達成することが出来ました。


「京都洛北・森と水の会」スタンプ台紙と記念品コースター。
廻りきるのが遅かったためコースター全種コンプリートは出来ず。


 この頃になると、『505』の上巻が紹介している寺社に、だいたい参拝していることに気付くようになります。上巻は東山から左京区、そして上京区あたりの、比較的アクセスし(徒歩で行き)やすい寺社が紹介されており、未訪問の寺社が数十程度になっていました。こうなってくると「せめて上巻の寺社を……」と思ってしまい、実際(左京区の北の端にある峰定寺を除いて)上巻をコンプリートすることが出来てしまいました。


『505』で紹介されている京都市街の寺社。
色付き円が訪問済み、白円が未訪問。地図中央右の大赤円が二条城、
右上大赤円が京都大学、右下大赤円が京都駅、左大赤円が渡月橋。


 こうなってくると……、後はおわかりですね? 

 寺社をぐるぐる廻るようになって、1つ自分に課したルールがありました。それは先ほどからチラチラと仄めかしているように、「徒歩で行く」と言うことです。最初のうちは単に健康のため、と言うのと交通費の節約というような意味しかなかったのですが、だんだんと別の意味を持つようになってきました。京都は古い都です。今のような交通手段がない時代から、いろいろな人がいろいろな思惑を持って、京都を行ったり来たりしていたことが、様々な旧跡を巡ることで分かってきました。あの場所から此の場所までどれくらいかかり、どれくらい疲れて、どういった景色が目に入るのか。今みえている現代の京都の街並みと、過去の都の町並みとでどう違っていて、どう同じなんだろうか。そういう感覚がとても楽しくおもうのです。

 とは言っても、毎回自宅から移動していては、移動だけで1日が終わってしまうので、以前歩いたところまでは交通機関で行ってもよいルールも追加しています。


伏見、宇治、乙訓などを含んだ地図。凡例は上に同じ。


 しかしながら、下巻は郊外の寺社が多く、また徒歩はおろか交通機関を利用してもなかなか到達が難しい寺社が多く控えています。愛宕神社のように1000m級の登山が必要なものや、大阪・奈良との境に近い、非常に遠い寺社などです。


『505』で紹介される寺社の全景。


 しかし、現在までに訪問達成率は85%ほどまできています。出来るところまで、やっていければと思います。

 さて、最後に自分の仕事などに引き付けたまとめなどさせて頂ければ、「可視化が大事」と言うことでしょうか。計画がどれくらい進捗しているのか、全体のどれくらいの位置にいるのか、不足を解消するためには何が必要なのか。こうした調査、検討は研究の世界でも重要な仕事の1つです。学問という大きな世界で言っても、何が分かっていて、何が分かっておらず、何が分かれば、世界の謎を解明することが出来るのか………。

 人へ説明・紹介するときだけでなく、自分で考えるときでも、可視化は大きな力を持っていることが多いです。現在開発している惑星撮像装置がきちんと「せいめい望遠鏡」に搭載され、目標が達成されるよう、きちんとまとめていきたいと思います。



それでは!

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