2018年10月18日木曜日

歴史の重み

 こんにちは。サイエンス・広報担当の野上です。

 今年4月にせいめい望遠鏡を擁する岡山天文台が発足しました。
正式名称は京都大学大学院理学研究科附属天文台岡山天文台です。
ずらずらと漢字が続いていますが、京都大学の中の、大学院理学研究科の附属施設である天文台の、その中の組織として岡山天文台がある、ということです。そして附属天文台というまとまりで見ると、京都府京都市にある花山天文台、岐阜県高山市にある飛騨天文台、理学研究科のある京大北部キャンパスにある天文台分室が既にあって、岡山天文台は一番新しい施設となります。一つの大学で現役で稼働している天文台を3つ持っているところは日本では京大だけで、多分世界的に見てもほとんどないと思われます。

 ちなみに東大は木曽観測所とアタカマ天文台の2つですね。広島大学は東広島天文台を持っていて、チベットの5100mの山の上にロボット望遠鏡を置くプロジェクトを進めています。東北大学はハワイに遠隔操作ができるハレアカラ60cm望遠鏡を持っていて、南極天文台プロジェクトがあります(主導されていた市川さんが昨年度で定年退職されて、今現在どうなっているのか私は知りません。)。北海道大学は光赤外線の1.6mピリカ望遠鏡と、11mの電波望遠鏡を持っていて、鹿児島大学は1mの光赤外線望遠鏡と6mの電波望遠鏡を持っています。他にも望遠鏡単位で見ると複数の望遠鏡を持っているところはあるかもしれませんし、大学の屋上に数十センチくらいの望遠鏡があるというところだと、かなり多いと思われます。

 京大の天文台に話を戻すと、今年飛騨天文台が設立50周年を迎えます。
11月16日にその記念式典が飛騨で行われます。現在、式典の準備が急ピッチで進められていて、その中の一つで50周年記念誌の作成があります。50年の沿革や歴代職員リスト、新聞記事・写真などの記録、研究成果報告、OB/OGや関係者からの寄稿、論文リストなどなどの内容となっており、なかなかのボリュームになりそうです。歴代の職員リストで、教員、技術職員、非常勤職員、研究員まで含むと、約100名となるようです。もちろん望遠鏡のユーザーとしてこられた方やメンテナンスで来られた方、そもそもの建設に関わられた方などまで含めると、ものすごい数になるでしょう。

 50年の間に、望遠鏡も増え(設置順に60cm反射望遠鏡(1968)、65cm屈折望遠鏡(1972)、ドームレス太陽望遠鏡(1979)、フレア監視望遠鏡(1992; 2010年にペルーに移設)、太陽地場活動望遠鏡(2003))、観測装置も発展してきました。
それにつれて観測手法や観測テーマも広がっていき、研究が深まっていることが、記念誌を見ることでよくわかります。歴史の重みがひしひしと感じられます。

 そして来年には花山天文台が設立90周年となります。ということは、岡山天文台が10周年を迎えた次の年に、花山天文台設立100周年という大きな節目を迎えることになります。これまでの附属天文台の長い歴史を受け継いで、そしてまた将来を見据えながら、岡山天文台を含めて新たに歴史となるものを積み重ねていく、、、こう考えていくと、現在の構成員の一人として、神妙な気持ちになります。精進しようと思います。

 翻って、私が所属している同じ理学研究科の宇宙物理学教室。こちらの歴史は1907年に物理学教室に新城新蔵教授が着任して新設された、物理学第四講座に始まります。そう、今年は111周年のゾロ目年。
これまで宇宙物理学教室ではこういう周年イベントが行われたことはないと思いますが、記念誌を作っておくとよさそう。でも実際にやるのは大変なので言い出さないでおきます。



岡山天文台の雄姿。スリットに見えるのはせいめい望遠鏡





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