全天を平面に表すとき、天空での面積が正しく表され、しかもあんまりゆがんだように見えない、モルワイデ図法がよく使われるように思います。○○天体の分布だったり、宇宙背景放射の微少ゆらぎなどもそれで描かれていると思います。こういうように、人名を付けるのはその人へのリスペクトという意味で良いことだとは思いますが、これがガウスなどという人になると「そりゃあもちろん正規分布」「複素数平面」「光学の定義」「いやいや電磁気学」などと、さまざまな分野の業績のために、実に紛らわしいことになってしまいます。
その点、「正距方位」と言えば、距離も正しいし方位も正しいのだなあと、スッキリとわかるという利点がありますね。「正距方位」という感じで表せば、日本を中心として口径3m以上の光赤外線望遠鏡がどっちの方角のどの距離にあるか、ということも良くわかります(写真参照)。
正距方位図法っぽく表した、口径3m以上の光赤外線望遠鏡の分布(赤丸)。
インドネシアの西チモールには星印をつけました!
さて、「赤外線天文学」という講義で、観測装置に使う光や赤外線のセンサーについて調べたことがあります。Alan Hoffmanたちが2005年にExperimental Astronomyという学術誌に書いた論文の最後のページの締めくくりは次のような写真でした。「写真術(1830頃-1990)」、「撮像管(1955頃-1985頃)」とともに「皆に愛されたCCD(1980頃-????)」という墓標があって、RIPと書かれていました。ラテン語の Requiescant in pace か英語の Rest In Peace か、とにかく「安らかに眠りたまえ」ということですね。(彼らの論文の趣旨は、マイクロプロセッサの微小化が進み、その技術を使う CMOS イメージセンサが発達してきて、もはや CCD の時代ではなくなりつつある、とのことでした。その2000年代半ばから、今はさらに1桁もプロセッサ製作の線幅は微小になって来ています!)
CCD にしても、2次元撮像素子という意味だと思っている人が少なくなくて、そうじゃないよと言うことから「赤外線天文学」の講義はスタートします。撮像センサの世界では(あるいは、撮像センサの世界でも) MOS だの FPA だの SCA だの ROIC だのと、3文字やそこらの、意味がわかりにくい略号だらけです。
さすがに4000年の歴史を持つ大帝国の作り出した表意文字、かつては遺物だとして「日本語はローマ字で表記しよう」という運動さえあったようですが、ただものではありません。
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