光学など担当の岩室です。
今年の秋は "スーパームーン" が話題になりましたが、私も流行にあやかって月の写真を撮ってみました。使用した機材は、口径 25cm ドブソニアン望遠鏡の銀次にソニーNEX用Tマウントアダプタを介してNEX-5R を直接焦点に接続したものです。望遠鏡を暫く外気になじませた後、大気揺らぎが大きいなぁ...と思いながら雲の切れ間を縫って念入りにフォーカスを合わせ、1/200 のシャッタースピードでとにかく連写。100枚近く撮ってから、運良く大気揺らぎの最も小さい1枚を選定しました。こういう手法は「ラッキーイメージング」と呼ばれ、天文学でも使われる場合があります。
画像の全体を見ると、カメラのせいか(オートホワイトバランスってやつでしょうね)見た目よりも白っぽい感じで写っています。
このままではただの月の写真で面白くないので、色を強調してみることにしました。すると、意外なことに場所によってかなり色が異なり、また、その境界は結構はっきりと分かれていたのです。これは、表面にある岩石が太陽光を反射するときの反射率特性(アルベドと言います)の違いを現しており、多分、それぞれの部分ができた時の年代の違いとかが関係しているのだと思いますが、インターネットで調べてもどちらの部分も玄武岩ということしかわからず、色の違いの原因はわかりません。
どなたか、詳しい話をご存知でしたら連絡下さい。それにしても、色を強調すると別の星の衛星みたいですね(ガニメデとか)。
中央右上の青い海がアポロ(11号)が初めて着陸した「静かの海」だそうです。建設が始まりつつある口径30m望遠鏡に究極の大気揺らぎ補償装置を付けても、月面上の10mのものが識別できるかどうかというレベルなので、地球からは着陸船は見えません(月の周回衛星からは見えている ようですが)。
こんなに遠いところまでよく行ったもんですね。
それから、月と言えば中国が口径15cmの紫外線望遠鏡を上記「静かの海」2つ左の「雨の海」に設置してから1年半、望遠鏡は順調に稼働しているらしく、最近の研究報告の速報 にも出ていました。中国は進んでいる部分と遅れている部分の差が激しく、全体としてすごいと思うべきなのかどうだか良く分からないといった印象ですね...
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