2020年7月10日金曜日

せいめい望遠鏡での研究成果を記者発表しました!

こんにちは。サイエンス担当の野上です。


このブログ記事を書いているのが7月7日(火)なのですが、昨日、すなわち7月6日(月)に記者発表を行ないました!我々の研究グループで進めている恒星スーパーフレアに関するものです。そのもとになった論文がオンラインで公表されるのが7月10日(金)午前0時(深夜)なので、早ければオンラインニュースではこの時間に、新聞ではこの日の朝刊に出るのではないかと思います。それまで内容を明かせませんが、うちの大学院生の行方宏介君(D3)が主著の論文です。どうぞお楽しみにしていてください!


あれ?このブログが掲載される頃にはもう報道されているはずですね。まだ見てないよ、という方は、どうぞ新聞やネット記事等を探してみてください。


ということで、研究成果は報道に譲るとして、今回は記者発表がどういう風に行われるか書こうと思います。研究成果を記者発表する場合、当然まずは成果を論文として発表することが必須です。論文が受理され、出版されることが決定すると、「この研究成果は是非皆さんに知ってもらいたい!」という場合、記者発表を大学の広報室に申し込みます。


この際に成果説明の書類を付けて申し込むのですが、この書類の書き方がポイントになります。とにかくわかりやすく簡潔に書くことが求められます。大学の広報室は、この成果書類と記者発表の日時等を記した書類を合わせて報道各社に送ります。それを見た各社の記者さんなどが、自分のところで報道する価値があると判断すれば、記者発表に参加します。いかに優れた研究成果でも、その価値が記者に伝わらなければ会場にも来てもらえないわけです。科学面担当の記者でも天文のことは全然知らない方も当然多いです。ですので、成果書類はわかりやすく簡潔に。専門用語はなるべく避けて、使わざるをえない場合や専門用語とまで言えなくても一般の人に伝わらないような単語には、用語説明も付けます。そしてもう一つ大事なのは、キャッチーな絵を付けること。人目を引ける絵が作れれば、掲載率がぐんと高まります。


この絵は、きちんとスペースが確保されていれば、そのまま紙面に載る場合が多いです。データそのもののグラフが出る場合もありますが、それではなんのこっちゃわからない場合がほとんどですので、ポンチ絵や想像図などを用意することになります。研究者がそういう絵を書くのが得意ということはほとんどありませんので、得意な大学院生を探したり、プロのイラストレーターにお金を払って依頼したりすることになります。京大でもイラストレーターと契約しているのですが、お金がない我々は、今回国立天文台の方に作図を依頼しました。さすが国立天文台!広報の方でイラストが得意な方が描いてくれるのです!今回の成果は国立天文台が担っているせいめい望遠鏡の共同利用で得られた成果で共同研究者に国立天文台方も入っていますので、京大と国立天文台との共同記者発表ということになり、こういう取り計らいをしてもらえました。この絵を下に付けておきます。恒星フレアの噴出物が惑星に影響を与えそうな感じが出ていますでしょうか?


さて、記者発表当日には、京大の記者室で報道陣を前にプレゼンをすることになります。ですが、今はともかく3密を避けなければいけません。記者発表もzoomで行ないました。対面で行なうと近くの新聞社やテレビ局しかきてくれませんが、今回はせいめい望遠鏡のある岡山方面や東京方面の会社もあったようです。今回は3人の分担で、私が司会を務め、共同研究者の前原さん@国立天文台から背景説明やせいめい望遠鏡などの紹介、そして行方君から本題の説明をしました。学会等のプレゼンよりもずっと丁寧にスライドを作り、しっかり発表練習をしました。普通この手の記者発表は、研究者の発表20~30分+質疑応答30分とかなのですが、40分を超える熱演となり、その後の質疑応答も1時間くらい続きました。行方君は記者発表は初めてなのですが、非常に落ち着いて当意即妙に質問に答えており、司会の私が感心してしまいました。


質問が出終わったところで発表終了となりました。対面での記者発表ではここから記者と研究者の個人的な質疑応答があるのですが、zoomではそれができません。発表スライドは事前にネットを介して記者に送っていたのですが、そのスライドにこちら側3人のメールアドレスと携帯番号を書いておきました。行方君には発表後に数社から電話で問い合わせがあったそうです。


さて、記者発表がどういうものなのかを書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。この発表がきちんと記事にされるかどうかは記者や報道各社の判断になります。大きな事件などがあれば、そちらが優先されて後日掲載とか、最悪お蔵入りということもあり得ます。私の感覚では今回はある程度たくさん報道してもらえると思っているのですが、皆さんの目に留まっているでしょうか?


今回は記者発表をしたので研究内容は書きませんでしたが、せいめい望遠鏡の成果はこのブログでも取り上げていきたいと思います。どうぞご期待ください!


ところで、この7月6日は私の誕生日で、行方君からのとてもよいプレゼントになりました。50歳(四捨五入すれば100歳!)になりましたが、いまだ天命を知るには程遠く。精進を続けたいと思います。







0 件のコメント:

コメントを投稿