2016年7月22日金曜日

巨人の「タイタン」と巨人でない「タイタン」

 天文学者は週末にいったい何をしているのか? 
 答えはいろいろあります。ひたすら研究している人、世界各国を移動中の人、子どもを相手にしている人、じっくり読書や音楽などの趣味に没頭する人・・・
かくいう私は音楽の人(本ブログ執筆者の中に合唱音楽している人もいます)。学生時代には大学のオーケストラ(略称「オケ」)でオーボエ(木管楽器の一つ、人の声に一番近いといわれる)を吹いていました。今年初めに学生オケの同期会がありまして、じつに多くの人が今も楽器を続けていることにいたく刺激を受け、古い(約40年前の)オーボエを押し入れから取り出してきました。こわごわケースを開けると、虫にも食われず、さびだらけのオーボエがそこに。さて、まだ吹けるのか。楽器屋にもっていきました。
 「古いですね」(言われなくてもわかっとる!)
 「さびてますね」(それくらい素人でもわかる!)
 「修理するだけ無駄かもしれません、安いのがありますから買いませんか?」
 「そこを何とか、無駄を承知で、まずは修理していただけませんか?」
 「ならみてみますけど、こんな古い楽器、ピッチ(音程)が低すぎて、皆と一緒に合わせることはできませんよ」(これは後ほど、大嘘と判明する)
といったやりとりを経てともかく預かってもらいました。1ヶ月後、さびとりや調整を入念にしていただいて、手元に戻ってきました。快調です。
 高校のOBオーケストラでマーラーの交響曲1番「タイタン」をとりあげるというので、練習に参加しています。マーラーは大学オケで2度も経験しており(交響曲2番と6番)懐かしい響きがします。最初の交響曲にして、すでにいわゆる「マーラーらしさ」が姿を見せており、さすが「音楽の巨人」だとしみじみ思います(注:正反対の意見の人もたくさんいます)。
 ところで、天文分野で「タイタン」といえば、土星最大の衛星(月)のこと。こないだ探査機も飛んで、詳細な画像を送ってきました。見ると、地球で見るような地形(山、谷、川、海・・・)が。みな「ここはどこか」とびっくりするのであります(図参照)。タイタンには、(水=H2Oでなく)メタンの雲があり、メタンの雨が降り、メタンの川が流れ、メタンの海に注ぎこんでいるのだそうです。もし生物がいたらどんな形をしているんだろう、なんて考えるとわくわくしますね(しませんか?)。本当に生物がいるかどうか、わかりませんが。
 さて、話はマーラーの「タイタン」に戻ります。CDなど見ると「巨人」という日本語訳がついています。はて、「タイタン」とは「巨人」なのか?(金属の)「チタン」ではないのか(注:綴りは同じです)。なぜ土星の衛星は「巨人」と言わないのか? なぜだ、なぜなんだ? 疑問がわいてきました。
 あっ、字数オーバーしたので話はここまで。疑問に思った人は自分で調べてみてください。

(嶺重 慎)




図:ホイヘンス探査機による「タイタン」の画像(NASA
Credit: ESA/NASA/JPL/University of Arizona.



0 件のコメント:

コメントを投稿